1日で300万円稼ぐ“ドライブスルー魚屋”も登場 コロナ禍で見直された販売形態の魅力長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)

» 2020年06月30日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 新型コロナウイルスの感染拡大と共に、ドライブスルーに注目が集まっている。

 緊急事態宣言によって、感染を恐れた顧客が店内飲食を避けるようになった。その結果、人との接触の機会が少ないテークアウト、とりわけドライブスルーに強い業態のみに売り上げが集中したからだ。

 上場している外食チェーンの既存店売上高を見ると、コロナ禍で前年同月を上回ったのはケンタッキーフライドチキン(4月は133.1%、5月は137.6%、以下同)、マクドナルド(106.5%、115.2%)、モスバーガー(103.7%、112.2%)の3社のみだった。

ドライブスルーが絶好調だったKFC

 既存店売上高が3割増と驚異的な伸び率となったKFCによると「国内約1130店のうち、約400店でドライブスルーを実施している。緊急事態期間中、ドライブスルーの伸び率が最も高かったのは確か。ドライブスルーをテーマにしたCMや、500円ランチなど普段使いできるセットを強化してきた効果もあった」とのこと。

 マクドナルドでは、「国内2900店のうち、ドライブスルーは半分以上の約1500店で実施している。お待たせしないスピードもサービスの重要な要素と考え、クルーは店内と変わらないホスピタリティ提供に努めている」と、接客時の心構えによって顧客満足度が高くなったと強調した。また、トミカなどとコラボしたハッピーセットの企画も強力だった。

マクドナルドのドライブスルーも好調だった

 モスでも「国内約1280店のうち、ドライブスルーは半分ほどの約600店で設置している。4月頃よりドライブスルーの売り上げは1.5倍に増えていて、全売り上げの約3割がドライブスルーになっている」としており、ドライブスルーが業績アップに大きく寄与している。

くら寿司や幸楽苑もチャレンジ

 丼系の吉野家(96.0%、92.7%)、かつや(89.6%、97.7%)、すき家(88.1%、90.8%)は、もう少しドライブスルーを強化していれば、前年並みの売り上げを保持できたと推定される。

 吉野家では、国内約1200店のうち約260店でドライブスルーを併設している。郊外であまり強いチェーンではないが、最近オープンした郊外型店ではほぼ設置するようにしているという。「通常は3割あるテークアウトの売り上げが、4月と5月は6〜7割になっていた。正確にデータを取ったわけではないが、体感としてドライブスルーも急増した」(吉野家・広報)としている。

 コロナ禍が猛威を振るう状況では、ドライブスルーが有効な対策になると痛感した外食各社では、新規に導入する動きが加速。くら寿司、幸楽苑などといったチェーンが、チャレンジしている。

牛丼は提供が早く、具材がご飯に乗っているので、ご飯が冷めにくい。実はドライブスルーに向いた商材だ

 そればかりか、レストランやホテルに食材を販売する生鮮卸が、外食・宿泊需要の急激な縮小で余った商品をドライブスルーで販売するために、八百屋、肉屋、魚屋を続々とオープンさせている。そして、しっかりとリピーターを獲得し、定期的に販売する店に進化している。コロナ禍を逆手に取り、花開いたさまざまなドライブスルーの試みを紹介して行こう。

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