「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発 なぜ報ステは「運営会社」を伏せたのかスピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2020年08月11日 09時54分 公開
[窪田順生ITmedia]

 先日、「報道ステーション」(テレビ朝日)が「週刊新潮」にチクリとやられた。

 7月30日、「しゃぶしゃぶ温野菜 郡山新さくら通り店」で起きたガス爆発。報ステでその謝罪会見を取り上げたのだが、そこでテロップ付きで登場したのが、フランチャイズ加盟社である高島屋商店の社長だけ。その場に同席していた、しゃぶしゃぶ温野菜運営会社のレインズインターナショナル、とその親会社のコロワイドの社長はどういうわけか画面に一切出さず、社名すら報じなかったのである。

社名すら報じなかった意図は? (出所:ゲッティイメージズ)

 そんな「不祥事タレント」のような不可解な扱いについて、新潮では、この日の報ステの直後、同じくレインズインターナショナルが運営している「牛角」のスポットCMが流れていた事実を指摘。要は「得意先」の不祥事がゆえに、扱いに苦慮した結果、あのような不可解な伝え方になったのではないかと指摘している。

 もちろん、テレ朝側はこれを全否定。「当社への名誉毀損などに該当する可能性が高い」とスラップ訴……ではなく大企業らしいカチカチの法的措置をにおわしている。

 では、ホントのところこれはどうなのか。

 確かに、広告収入に依存するメディアには、テレビだろうが、新聞だろうが、そして週刊誌だろうが、多かれ少なかれ「スポンサーへの配慮」が存在する。360度全方向に噛(か)みついてるような攻撃的な媒体も注意深く観察すれば、必ず「叩かない企業」を見つけられる。良い悪いという話ではなく、営利事業でもあるメディアが抱える宿命というか、構造的問題なのだ。

 そう考えると、新潮が示唆するようなことがテレ朝内部で起きていたとしても特に驚くような話ではない。が、個人的にはこのケースで「CM出稿企業の顔色を伺って名を伏せた」という説明はあまりピンときていない。

 テレ朝からの名誉毀損訴訟が怖くて擁護(ようご)しているわけではなく、企業名を伏せることが、コロワイドやレインズの危機管理的になんのプラスにもなっておらず、むしろ足を引っ張っることになっているからだ。もし顔色を伺ってあんな報道をしたのなら、報ステはかなりのポンコツだと言わざるを得ない。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.