「京急愛」なんて言葉もあるほど、多くの鉄道ファンたちから慕われているあの鉄道会社でいったい何が起きているのか――。
3月29日、東京・品川と神奈川・横浜を結び、羽田空港への公共交通も担っている京浜急行鉄道の現場で働く人たちが「低賃金」や「重労働」に苦しみ、その結果として、離職者が相次いでいるという内容の記事が大きな話題となった。
『「京急」社員たちが悲痛告白、低賃金と重労働の驚きの実態とは』(ダイヤモンドオンライン 3月29日)
鉄道事業者の広報部で報道担当を3年間務めたという、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が、京急社員への取材や、労働組合が社員に行ったアンケートをもとにしたものだが、実は枝久保氏がこのような「内部告発」を世に出したのは2週連続である。
『「京急踏切事故」の裏にある、元乗務員たちが語る驚きの問題とは』(ダイヤモンドオンライン 3月22日)
2019年9月、京急の車両が踏切内で立ち往生したトラックと衝突し1人が死亡し、乗客乗員77人が負傷した事故があり、その国交省運輸安全委員会の調査報告書が、さる2月18日に公表されたのだが、枝久保氏は、この報告書では十分な掘り下げが行われたとは言い難いと主張。事故のあった踏切では1〜2年前に、踏切の支障を知らせる特殊信号発光機が「見えにくい」という現場からのヒヤリハット報告があったはずだ、という元乗務員らの証言を紹介し、「現場から本社に意見が言いにくい」という空気がまん延していると指摘しているのだ。
どちらの記事も企業危機管理の観点から非常に興味深い内容だが、筆者としては、その内容自体よりも関心があるというか、気になってしょうがないことがある。
なぜこのタイミングで、京急社員からの内部告発が増えてきているのか、ということだ。
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