コロナ禍でも黒字のアパホテル 常識破壊の”強さ”と悲願の10万室が生んだ“功罪”創業50年(1/5 ページ)

» 2021年05月26日 05時00分 公開
[瀧澤信秋ITmedia]

 アパホテル(東京都港区)が2021年5月10日に創業50周年を迎えた。1971年に石川県金沢市で創業し、アパホテル1号店を金沢市に出店(84年)、その後の隆盛は説明すべくもないが、いまや日本を代表するホテルブランドとして圧倒的な知名度を誇る。ホテル業界がコロナ禍の影響を受け続け、業界全体として惨憺(さんたん)たる状況であることはここで改めて触れないが、20年11月期連結決算でアパグループが黒字を確保したという発表は、ホテル評論家としても衝撃的だった。

アパホテル〈池袋駅北口〉(筆者撮影)

 同決算では、グループ連結売上高904億3200万円(前期比34.1%減)、営業利益20億4400万円(同94.3%減)、経常利益10億900万円(同97.0%減)と対前期比で大幅な減収減益となったものの、純損益では9億4900万円の黒字を確保するという注目すべき内容であった。

<比較損益計算書>(単位:百万円)
19年11月期 20年11月期 前期比
売上高 137,156 90,432 -34.1%
営業利益 35,979 2,044 -94.3%
経常利益 33,547 1,009 -97.0%
当期純利益 21,193 949 -95.5%
(出所:アパホテル公式リリース)

 訪日外国人客の激減、緊急事態宣言発出が業績に大きく影響を与えるホテル一般の厳しい経営環境の中にあって、驚きと共にやはり“アパは違う”と再認識させられたニュースとなった。

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