大赤字で“株価暴落中”の出前館、これは「良い赤字」か「悪い赤字」か古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)

» 2021年07月02日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 コロナ禍による巣ごもり消費の追い風を受け、急速に対応エリアと店舗を拡大している出前館。出前館といえば、ダウンタウンの浜田雅功氏がスーダラ節の替え歌を歌うCMの印象が強いのではないだろうか。現に出前館の注文件数は、広告戦略の成功もあって1年前の1070万件から1580万件と44%も増加している。今ではアクティブユーザー数652万人を誇るメガサービスとなっている。

 しかし、25日に発表された出前館の決算は惨憺(さんたん)たる結果として市場に受け入れられた。出前館の2021年8月期第3四半期決算の結果は、約45億円の営業赤字となった。前年同期の営業赤字が6億1900万円だったことから、コロナ禍を経て赤字が7倍以上も膨らんだことになる。

期初130億円の営業赤字予想だったが、通期でも190億円の赤字に修正された

 出前館の株価も大きく下落中だ。同社の株価は、決算発表の翌営業日からずるずると値段を下げ、決算前の水準からは15%マイナスとなる1500円台近辺で推移している。昨年末の最高値である4200円と比較すると、そのパフォーマンスはマイナス64%と“暴落”といっても差し支えない状況だ。

 しかし、目先の赤字と株価推移だけに注目してしまうと、出前館の中長期戦略を見誤ってしまう。そこで今回は、出前館のキャッシュフローや赤字の内容を分析し、この赤字が「良い赤字」なのか「悪い赤字」なのかを確認してみよう。

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