小売業界に、デジタル・トランスフォーメーションの波が訪れている。本連載では、シリコンバレー在住の石角友愛(パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー)が、米国のリテール業界の最前線の紹介を通し、時代の変化を先読みする。
コロナ禍で顧客が店舗に足を運べなくなったことで、EC化は一気に加速しました。
米国では、パンデミック前に約10年かけて5.6%から16%へとおだやかに浸透していたEC化が、パンデミック中のたった8週間で27%まで一気に浸透したと言われています。
その中で、EC化には最も遠いと思われていたハイブランドファッションが、今、EC戦略において大きな分岐点に立たされています。特に、ブランドによって「EC化をどう捉えるか」が大きく異なっている点は非常に興味深いです。
マッキンゼーによると、2020年以前にはオンラインで洋服を買うことがほとんどなかった人でも、今ではファッション関連商品の購入の8割を自宅からネットで行うようになったそうです。
同時に、海外旅行に新たな規制が導入されたことで、これまで海外でハイブランド製品などの高級品を購入していた中国の消費者の多くが、国内で購入するようになりました。
同社はまた、中国人によるこのような高級品の購入額が2025年までに1780億ドルにも達する見込みであると予想しており、ファッション業界において、中国は世界で最も収益性が高く、急成長している市場だと分析しています。
また、マッキンゼーがファッション業界の経営者へ行った調査によると30%の経営者が「デジタル投資が今後の希望の光」だと答えていることから、デジタル投資とデジタルチャネル強化による中国市場の獲得が大きな課題であることが分かります。
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