新型コロナ関連の経営破綻、2000件を超える 「小規模事業者を中心に今後も推移」東京商工リサーチ調べ

» 2021年09月03日 10時45分 公開
[ITmedia]

 東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウイルスの影響による企業破綻は9月2日時点で累計2027件となった。2020年2月に国内初の“コロナ破綻”が判明して以降、約1年後の21年2月には1000件、8月31日には2000件に到達し、発生ペースが加速している。

破綻 (画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 月別では21年2月(122件)以降、3カ月連続で最多件数を更新。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件で過去最多を記録、7月(140件)、8月(124件)と高いペースで推移し、7カ月連続して月間100件を上回った。

破綻 東京商工リサーチ調べ

 都道府県別では、東京都が447件(倒産423件、準備中24件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.2%)を占めた。以下、大阪府208件(倒産198件、準備中10件)、神奈川県94件(倒産90件、準備中4件)、愛知県88件(倒産88件)、福岡県79件(倒産77件、準備中2件)、兵庫県78件(倒産73件、準備中5件)、北海道71件(倒産69件、準備中2件)と続く。

 2日は大阪府で3件のほか京都府、山口県、佐賀県、長崎県、宮崎県で各1件判明した。この結果、宮崎県が10件となり、10〜20件未満が20県、20〜30件未満が7県、30件以上は16都道府県に広がっている。

コロナ禍 負債額1000万円以上 都道府県別破綻状況(東京商工リサーチ調べ)

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で349件に及んでいる。緊急事態宣言などの対象地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などが続き、飲食業の新型コロナ破綻がさらに増加する可能性が強まっている。

 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が187件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の162件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル、旅館の宿泊業が93件、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業も89件と、上位を占めている。

破綻 主な業種別経営破綻状況(東京商工リサーチ調べ)

 長引くコロナ破で「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の対象地域は合計33都道府県に拡大。対象地域を中心に飲食店などのサービス業や小売業、取引先にも影響が及ぶなど厳しい事業環境が続いている。東京商工リサーチは「小規模事業者を中心に、コロナ関連破綻は今後も高水準で推移するとみられる」と指摘する。

 企業倒産は、負債1000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計。原則として新型コロナ関連の経営破綻は、東京商工リサーチの取材で担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計し、経営破綻が判明した日を基準に集計、分析している。

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