創刊約60年『小説現代』が初の「完売」 要因は史上初の快挙

» 2021年09月14日 19時07分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

 講談社の老舗小説雑誌『小説現代』9月号が、創刊60年弱で初の「完売」を記録した。同号の特集は「令和探偵小説の進化と深化」で、人気グループ・ジャニーズWESTの中間淳太が表紙を務めた。

完売した『小説現代』9月号

 『小説現代』は1963年に創刊したエンタメ文芸誌。講談社にも古いデータは残っていないものの、1985年から編集長を務めた宮田昭宏氏(元 講談社文芸局 局長/2005年講談社を退社)は「凄いことです。『小説現代』の完売は、これまで聞いたことがありません。『史上初』と言っていいと思います」と語っている。

 同号はジャニーズWESTの中間淳太が細身のスーツに身を包み、安楽椅子に腰かけ読書をする探偵のイメージで表紙&グラビアに登場。偏愛する3つの探偵小説シリーズや、自身の創作活動についてインタビューに応えている。

 また、シリーズ40万部を突破した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』『invert 城塚翡翠倒叙集』に連なる「城塚翡翠」シリーズ最新作を掲載。似鳥鶏の『推理対戦第0章』、井上悠宇『不実在探偵の推理』、長江俊和『リヨンとリヲン』、早坂吝『眠れる名探偵と雷密室』、方丈貴恵『影を喰うもの』などを皮切りに、神永学『心霊探偵八雲 Initial Files』、川瀬七緒『仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』など、今の時代をときめく探偵小説作品が楽しめる。

 ミステリ界の大きな潮流となっている「特殊設定ミステリ」について、気鋭の作家たちが語り明かした「特殊設定ミステリ座談会」(相沢沙呼/青崎有吾/今村昌弘/斜線堂有紀/似鳥鶏 聞き手:若林踏)や、発売日に三刷となった四千頭身・後藤拓実の爆笑エッセイ『これこそが後藤』、紅玉いづきによる人気声優たちの朗読舞台『池袋裏百物語』の原作小説、森川葵のエッセイ『じんせいに諦めがつかない』なども掲載している。

9月22日に発売予定の『小説現代」10月号

 『小説現代」10月号は、時代小説ショートショート特集「五分後にホロりと江戸人情」を予定。発売日は9月22日。

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