「クレベリン」在庫過剰 大幸薬品、最終赤字95億円に転落21年12月期通期

» 2022年02月20日 18時33分 公開
[ITmedia]

 大幸薬品が2月18日に発表した2021年12月期(21年1〜12月)通期の連結業績は、最終損益が95億円の赤字(前期は31億円の黒字)だった。新型コロナの感染拡大に伴い、除菌製品「クレベリン」の生産を拡大していたが、需要が大きく低下。在庫が過剰となったため、棚卸資産評価損37億円を計上した。

photo 主力製品のクレベリン=大幸薬品の公式サイトより

 同社はクレベリンの安定供給のため、20年12月期に約23億円の設備投資を実施していた。しかし需要は長く続かず、生産設備と在庫が「短期の間に過剰な状態に転じた」(同社)という。生産や仕入れを停止し、在庫処分を進めているが、「例年ならばインフルエンザの流行などにより需要が高まる年末のシーズンも振るわなかった」といい、販売計画を大きく下回った。

 さらに消費者庁が今年1月、クレベリン4商品について、景品表示法に基づく措置命令を出したため、大幸薬品は「一定量の返品が見込まれる」として引当金も追加計上した。

 こうした影響で、21年12月期通期の売上高は112億円、営業赤字は49億円となった。同社は決算期の変更により、前期は9カ月(20年4〜12月)の変則決算となっているため、前期比は公表していない。

 22年12期通期の業績予想は「未定」としている。消費者庁の措置命令を受け、今後の売上高への影響を見極めている段階という。

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