なぜ「侮辱症状」を手渡したのか ハシモトホームとスルガ銀行の妙な関係スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2022年06月28日 09時39分 公開
[窪田順生ITmedia]

 サラリーマンであれば、誰もが胸が締め付けられるような「社内イジメ」のニュースが飛び込んできた。

 2018年、青森県八戸市の住宅会社「ハシモトホーム」の営業職男性が上司から「お前はアホか」など罵声を浴びせ続けられた挙げ句、侮辱的な「賞状」を渡されて、その後に精神的な病を患って自殺をしていたのだ。

 既に多くのメディアで報じられているのでご存じの方も多いだろうが、あらためてこの「侮辱賞状」の文面をご紹介しよう。

 『症状 第三位 ××殿 貴方は、今まで大した成績を残さず、あーあって感じでしたが、ここ細菌は、前職の事務職で大成功した職歴を生かし、現在でも変わらず事務的営業を貫き悪気は無いがお客様にも機械的な対応にも関わらず、見事おったまげーの三位です。陰で努力し、あまり頑張ってない様に見えてやはり頑張ってない様ですが、機械的営業スタイルを今年も貫き、●●みたいな一発屋にならない様に日々努力して下さい』

 読んでいてへどが出る、怒りが込み上げるという営業マンも多いだろうが、世間一般の「イジメ」と同じで、「いじめていた側」にはまったくそのような罪悪感はない。むしろ、「その場が楽しく盛り上がるように、おいしくイジってあげた」くらいの感覚だ。

一連の報道を受けて、ハシモトホームがコメント(出典:ハシモトホーム)

 『デイリー新潮』(6月24日)によれば、この公開ハラスメントは、ハシモトホームの関連会社が加入している親睦会の新年会で毎年行われているもので、対象になったのはこの男性だけではなく、「営業成績優秀者」。

 つまり、ハシモトホーム的には、営業でがんばった人をただほめてもつまらないので、イジり倒してみんなで楽しく盛り上がろうという「余興」の一種だった。実際、メディアの取材に対して同社の橋本吉徳社長も、しれっとこんなことをおっしゃっている。

 「行き過ぎた表現だったかもしれないが、他の人にも渡していたので、亡くなった男性の不調の原因になったか疑問に思う」(共同通信 6月22日)

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