日本企業にも普及するのか? タレントマネジメントの今(1/5 ページ)
近年「タレントマネジメント」というシステムが注目を集めている。海外のグローバル企業を中心に広まっているが、日本企業の普及は遅い。その理由について、リクルートワークス研究所の石原氏に聞いたところ……。
企業にとって、人材とは財産である。そんな経営者の言葉を具現化するような、「タレントマネジメント」と呼ばれるシステムが、近年注目を集めている。
タレントマネジメントとは、従来まで社員の基本情報として管理してきた年齢や学歴、部署移動歴といったバックグラウンドだけでなく、業務経験、スキル、実績、上長の評価など社員のタレント(能力、才能)といった情報までをも一元管理し、企業の人事戦略に活用していこうとする考え方だと言われている。社員ひとりひとりの能力を把握・分析して、その能力が求められる部署やポジションに登用していくという、“適材適所”の精度を高めるシステムだということができるだろう。
しかしこの定義は、タレントマネジメントを社内の人材を活用する企業の視点からしか語っていないとも言える。全社員の能力やポテンシャルを一元管理して、社内の必要に応じて機能するようポジションにあてがっていくことがタレントマネジメントだと言うのであれば、社員は“財産”ではなく企業の戦略を実現するための“道具”でしかない。企業だけでなく、実際に働くビジネスパーソンにとっても、このタレントマネジメントはどのように機能すべきなのだろうか。
「日本企業が言う『タレントマネジメント』は、とても狭い範囲を指して言っている。従業員データベースの構築と人事評価・職位階層制度の共通化でしかない。タレントマネジメントとは本当は何をすることなのかということが、十分に理解されていないのではないか」。そう語るのは、リクルートワークス研究所においてタレントマネジメントを中心とした人材マネジメント領域を長年研究している石原直子氏。海外企業の事例を中心に、タレントマネジメントの本当のあるべき姿とは何かをうかがった。
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