競合店ができても、ドトールの売り上げがあっさり元に戻るワケ:ノッている会社は、ここまでやっている!(1/7 ページ)
コーヒー業界が熾烈な競争を極めている。喫茶店、ファミリーレストラン、コーヒーチェーン、コンビニ、サードウェーブなど、さまざまな業界が参入しているが、そんな中で堅調な売り上げを伸ばしているコーヒーチェーンがある。ドトールだ。
どんなビジネスも競争は熾烈(しれつ)を極めているが、この20年ほどで、これほどまでに環境が激変した業界はないのではないか。そんなふうに思えるのが、コーヒー業界だ。
ファミリーレストランはじめ、コーヒーを飲める店は大きく拡大した。ファストフード店も次々に格安コーヒーを展開。さらにスターバックスコーヒーなど海外の新しいカルチャーもやってきた。100円で飲めるコンビニコーヒーの爆発的なヒット。そして、サードウェーブと呼ばれるハイクオリティコーヒーのブーム……。
だが、これだけの変化の荒波に揉(も)まれながら、相変わらず、どの店舗も混んでいるコーヒー店がある。ドトールコーヒーショップだ。個人的な印象としては、1990年代後半の外資系コーヒーチェーンの上陸で、さぞや影響をくらったに違いないと思っていた。ところが、実態はまったく違っていた。
確かに近隣店に競合がオープンしたりすれば、当初は影響を受ける。しかし、3カ月から半年程度で、売り上げはあっさり元に戻っていくという。
爆発的なヒットになった安価なコンビニコーヒーの影響も、かなり大きかったのではないかと想像した。ところが、これも違うという。コンビニでコーヒーを買っていくのは、まるで違う客層だった、というのである。
実際、今なおドトールコーヒーショップは賑(にぎ)わっている。朝から夜までひっきりなしに来店がある店も多い。いったいこれはどういうことなのか。なぜ人々は、ドトールに戻っていくのか。その秘密を探るべく書いた拙著『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』の取材で、私はドトールコーヒーの驚くべきこだわりを知ることになる。
分煙や空調の刷新で、タバコ臭いイメージは、もはやない。「白ドトール」と若者たちに呼ばれている新しい店舗は、外資系チェーンを上回るブランドイメージを調査で得られることもあるという。だが、それだけではないのだ。
コーヒー、フード、食器、サービス……。人々を強烈に引きつけているのには、しっかりとした理由があったのである。
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