大半の社員から反感を買ったチーム研修、それでも続けてきた理由:「よなよなエール」流 ガチンコ経営(1/5 ページ)
ヤッホーブルーイングの社長に着任してから真っ先に取り組んだこと。それが社内の改革でした。チームビルディング研修を持ち込み社員の意識変革に挑みましたが、その道のりは決して楽なものではありませんでした。
皆さん、いきなりですが、こんな会社の雰囲気をどう思いますか?
・元気がない
・自ら進んで行動しない
・誰かがやるだろうと他人任せ
・自分の仕事はやるが皆で協力してやる仕事は消極的
・目指す理想の会社像がバラバラ
・社員は20人ほどなのに……
2008年、業績好調を背景にヤッホーブルーイング創業者の星野(星野リゾート代表 星野佳路)に代わって、私が社長に就任しました。インターネット通販が好調なお陰で、直近3年間の売り上げは前年比30%以上の伸びを記録しましたが、私の中には危機感がありました。2000年初めのどん底期は脱していたものの、決して会社は良い状態と言えるものではなかったからです。実は、上述の会社は当社のことだったのです。
この状況を改善すべく自分なりにいろいろと取り組んでみました。例えば、職場の雰囲気を明るくしようと冗談を言ってみましたが、誰も笑ってくれず、うつむいたままシーンとしています。「自分から率先して行動してよ!」と訴えかけても、そのような行動はいつまで経っても出てきません。
忙しそうな人がいれば「手伝ってあげて!」と皆に声を掛けても誰も重い腰を上げません。でも、こういうことをあまり言い過ぎると、皆が嫌な顔をして私のことを煙たがるし、ますます職場の雰囲気は悪くなってしまいます。そうすると、私もそれ以上はあきらめて言わないようになってしまう……という繰り返しです。
正直、チーム作りは苦手だと思っていましたし、実際いつまで経っても良い状況にならないので「もう自分の力では無理だ」と思い、社外の研修「チームビルディング・プログラム(TBP)」を受講することにしました。この研修は、よなよなエールのネットショップでお世話になっている楽天市場が主催する研修です。その中でも最も難易度が高い研修の1つですが、ネットショップ仲間の間では評判良く、気になっていました。
ただ、研修期間は3カ月で、その間に計5日間の研修があり、かつ受講料が30万円強と高額であることを理由に受講をためらっていました。しかし、もうこれに頼るしか道はないと覚悟を決めて受講を申し込みました。
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