三菱自の益子会長は正しい決断をした(1/4 ページ)
三菱自動車の燃費データの不正計測・公表問題をきっかけに、日産が三菱自へ第三者出資することで傘下に収めることになった。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。
三菱自動車(三菱自)の燃費データの不正計測・公表問題をきっかけに、日産が三菱自へ第三者出資することで傘下に収めることになった。電光石火で話を決めた日産・ゴーン社長の辣腕(らつわん)振りに感嘆する声がちまたに溢れるのは当然だが、迅速に話をまとめた三菱自・益子会長の経営判断にも拍手を送りたい。
日産が三菱自を傘下に収めることになった経緯についてはいくつか漏れ聞こえており、記事などではカルロス・ゴーン社長の粘り強い意志、そしてしたたかな戦略性が高く評価されている。
そこに異論はまったくない。こんなに短期間、しかも不正問題がどう落着するか分からない時点で多額の出資を決断できるのは、三菱自と軽自動車に関し協業を開始して以来何度も、同社を傘下に入れるシミュレーションを繰り返してきたからに他ならない。その動機が「1000万台クラブ」への切符と東南アジア市場における三菱自の販売力というのも間違いなかろう。
唯一の障害だった期待投資対効果(ROI)が、この騒動で三菱自の株価が半減したことで、一挙にリーズナブルな範囲に収まったからに違いない。「救いの手」の電話はゴーン社長から三菱自の益子修会長に架けられたという。ではその電話を受け取った益子会長兼CEOはどう考え、なぜ日産傘下入りを短期間で決断したのか。
世間は不正を繰り返す三菱自の「うそつき」体質にあきれ果て、識者は現場を苦し紛れのごまかしに追い込んだ経営トップとして彼を糾弾して止まない(これも逃れようのない非難だ)。それでもなお、小生はこのぎりぎりの局面における益子会長の決断には敬意を惜しまない。
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