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Twitterのイラストから誕生した化粧品「童話コスメ」って? “高くて無名”でも支持される理由(1/3 ページ)

ほぼノーブランドで4000円、にもかかわらず支持されているアイシャドウ――それが「童話コスメ」。Twitterに投稿されたイラストをもとに、クラウドファンディングで生み出された化粧品は、2500人に支援され1000万円を集めた。「童話コスメ」が人気を集め続ける理由はどこにあるのか。

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 ほぼノーブランドで4000円、にもかかわらず支持されているアイシャドウ――。こう書いても、男性読者の方にはあまりスゴさがピンと来ないかもしれない。

 値段の差が激しい女性用化粧品の中でも、アイシャドウは全体的にかなりお手頃。名の知れた国内ブランドでも、安くて500円、高くても2000円程度の価格設定だ。

 “アイシャドウに4000円出す”というと、「シャネル」や「イヴ・サンローラン」などのハイブランドや高級ラインを買えてしまうくらい。そういった中で、1000万円をクラウドファンディングで調達し、商品化したアイシャドウがある。それが「童話モチーフコスメ」だ。


“高くて無名”でも支持される「童話モチーフコスメ」。イラストレーターはTCBさん

 童話モチーフコスメとは、グリム童話やアンデルセン童話などをモチーフにした化粧品のこと。きっかけは2014年6月、人気イラストレーターのTCBさんがTwitterでつぶやいたツイートだ。

 「童話モチーフの化粧品があったら欲しいなと思いつつとりあえず赤ずきんモチーフ描いてみた」

 このツイートは約9000回リツイートされ、1万7000の「いいね」がつくなど、大きな話題になった。

 同年12月、「童話モチーフの化粧品」というアイデアが形になり、クラウドファンディングサイトに実際に出品されると……なんと2500人が支援し、支援者数日本記録を突破(当時)。目標額の100万円を10倍上回る1000万円が集まった。

 翌年3月には第2弾の「不思議の国のアリス」もスタートし、1698人から952万円を調達。第3弾「人魚姫」、第4弾「ラプンツェル」、第5弾「ヘンゼルとグレーテル」第6弾「白雪姫」――と続き、いずれも目標を大幅に上回る支持が集まった。

「赤ずきん」から始まり、「不思議の国のアリス」(左)「白雪姫」(右)などシリーズ化

 割高であっても多くの支持を得られる商品がある。その1つ、「童話モチーフコスメ」が人気を集め続ける理由は、どこにあるのだろうか。

本当に欲しい人“だけ”に届けることができるクラウドファンディング

 童話モチーフコスメが生まれたのは、ネット上のアイデアから商品化を支援する「わくつく!」(運営:フレントレップ)が、イラストを描いたTCBさんに声をかけたのがきっかけだ。


ワークワーク代表取締役の高嶋直之さん

 「TCBさんの絵の魅力が素晴らしかった。童話の世界観を感じられるコスメとして、ぜひ商品化したいとフレントレップが声をかけた」──プロジェクトを担う、フレントレップから独立したワークワークの代表取締役、高嶋直之さんは振り返る。

 とはいえ、コスメ製作にはお金がかかる。一般に売られている化粧品が安価なのは、基本的に数万単位のロットで製造しているためだ。オリジナルで、なおかつノーブランド、しかも少数生産の化粧品となると、単価はどうしても高くなってしまう。

 「想定される購入層は18歳から20歳半ば。一般流通だと、4000円のアイシャドウはなかなか難しい。ただ、クラウドファンディングであれば、『本当に欲しい』と思っている人に向けて、いわば“予約販売”できる」

 クラウドファンディングを活用することで、「コストを削減して安く流通させる」ことよりも、「商品の完成度を上げて、欲しい人にきちんと届ける」ことを優先できる。そのため、本製品は「ドラッグストアで一般的に流通している商品よりも、4〜5倍のコストをかけ、よりキレイな商品にしている」のだという。

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