東日本旅客鉄道(JR東日本)は9月21日、福島県いわき市の農業者と共同で栽培したトマトを首都圏のグループ飲食店などで本格的に展開すると発表した。地産品の販路拡大などに取り組む施策の一環だ。
出荷するのは、同市に設立した「JRとまとランドいわきファーム」で栽培したトマトで、うま味が強いという「カンパリ種」など11品種。今年6月下旬から出荷を始めており、地元のみで販売していたが、安定した供給体制が整ったとして首都圏で本格的に展開する。
ジェイアール東日本フードビジネスが運営するファストフード店「ベッカーズ」や、「ベックスコーヒーショップ」の新メニューに活用するほか、JR東日本リテールネットが運営する駅ナカの「NEWDAYS」でトマトを使ったサラダなどを販売する。
ベッカーズでは、創業30周年記念商品として、JRとまとランドいわきファーム産のトマトケチャップを使用した「『格別』ザ プレミアムバーガー」(税込1280円)を4000食限定で販売する(10月1〜31日まで)。
JR東日本が取り組む、地方の農業者と連携して商品開発や販路拡大を推進するプロジェクト「のもの1-2-3」の一環。各地域の産品をJR東日本の販売ネットワークなどを活用してプロデュースし、地域の産業創出を図っていく狙いだ。
JR東日本・地域活性化部門の笹川俊成アグリビジネスグループ課長は「品質は良いのに、販路がなかったため都会の人たちに知ってもらう機会がなかった。当社が持っているネットワークを生かして支援していきたい。まずは年間600トンのトマトを生産していく」と話す。将来は観光列車の中で販売するなど、鉄道事業との連携の可能性も検討する。
JRとまとランドいわきファームの元木寛社長は「モノの生産だけでなく、コト作りにも力を入れ、生産地に観光客が来てもらえるようにしたい」として、今後はトマト狩りをはじめとする“アグリツーリズム”のコンテンツ作りにも注力していく考えだ。
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