2015年7月27日以前の記事
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「HY戦争」今や昔 “ライバル”ホンダとヤマハ発の提携、両社首脳が語ったこと(1/2 ページ)

2輪のライバル、ホンダとヤマハ発動機が原付で協業を検討。背景には「非常に厳しい」という原付ビジネスの落ち込みがある。

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 「2社から『HY戦争』と言ったことは一度もない。熾烈な競争が過去あったのが事実だが、その時のしこりなどは一切ない」──ファンを驚かせたホンダとヤマハ発動機の協業。手を組むのは50cc以下の原付(1種)だ。記者会見で語られた「なんとか残したいという思い」という言葉からも、かつて両社が激しい争いを繰り広げた原付市場の「極めて厳しい状況」が浮かぶ。

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ホンダの「タクト」(右)とヤマハの「ジョグ」

 両社は今後、(1)ホンダが50cc原付スクーターを2018年中を目標にヤマハへOEM(相手先ブランド名による製造)供給、(2)次期50cc原付業務用スクーターを共同開発し、ホンダがヤマハにOEM供給、(3)原付1種クラスの電動2輪車普及に向け、航続距離や充電時間などの課題解決を目指す基盤づくり──について業務提携を検討する。

 原付スクーターのOEM供給では、ホンダは「TACT」(タクト)、「Giorno」(ジョルノ)をベースとしたモデルを供給し、ヤマハはそれぞれ独自デザインによる「JOG」(ジョグ)、「Vino」(ビーノ)に該当するモデルとして販売する。ホンダはOEM供給分を熊本製作所(熊本県大津町)で生産する計画だ。

激減する原付市場

 1980年代、50cc原付の拡販をめぐって両社が繰り広げた「HY戦争」は今も語りぐさだ。そのライバル2社が手を結んだ背景にあるのは、免許制度や法規まで含め日本独自のものが多い50cc原付の需要が落ち込んでいることだ。

 1980年に198万台を販売した50cc原付は、2015年には19万4000台と、10分の1までに激減している。「価格の上昇や、軽自動車や電動アシスト自転車の普及など、近距離移動手段が多様化した」(ホンダ・青山氏)ことも背景にあるが、2輪市場自体が大きく縮小しており、反転のきっかけも見えない状況だ。

 記者会見で「原付を提供するメーカーとしての社会的責任」が強調されたのも、裏を返せば、撤退もありうるほどビジネス的には厳しい状況に追い込まれているということの現れでもある。

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国内2輪車販売台数の推移=日本自動車工業会のWebサイトより

 提携は今年2月、ヤマハからホンダに打診し、検討を進めてきた。ヤマハにとっては世界的に需要が伸びている125ccなどにリソースを振り向けられ、ホンダにとっては熊本製作所の稼働率向上や、生産規模拡大によるメリットも見込める。

 またヤマハは「原付は2輪車へのエントリー(入門口)として非常に重要」(渡部克明 MC事業本部長)としており、規制対応などで価格の上昇が進む原付の価格を、OEM供給を受けることで抑えられると期待する。

 記者会見で語られた、両社幹部の主な一問一答は以下の通り。

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