トヨタ、「つながる車」のプラットフォーム構築 米国ではカーシェア推進
トヨタ自動車はカーシェア専用の車載機器を活用し、2017年1月から米国企業と共同でカーシェアの実証実験を開始すると発表。モビリティサービスの普及に対応するため、プラットフォームの構築も進める。
トヨタ自動車は10月31日、自社開発したカーシェア専用の車載機器を活用し、2017年1月から米国企業と共同で実証実験を開始すると発表した。カーシェアをはじめとするモビリティサービスの普及に対応するため、「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の構築も進める。11月1日に開いた説明会で、コネクティッドカンパニープレジデントを務める友山茂樹専務役員が「つながる車」の戦略を語った。
カーシェアサービスをより安全で便利にするための機器「スマートキーボックス(SKB)」を開発した。車内に機器を設置すれば、スマートフォンのアプリでドアロックの開閉やエンジンの始動が可能になる。車の鍵をコンソールボックスに入れて受け渡したり、特殊な通信装置でネットワーク接続したりする方法と比べて、セキュリティリスクを軽減できる。
SKBを活用し、米国で個人間カーシェアを手掛けるGetaroundと共同で実証プログラムを立ち上げる。同社は主要12都市で事業を展開し、会員数は50万人以上。トヨタは10月、傘下の「未来創生ファンド」から同社に出資していた。
実証プログラムでは、トヨタファイナンシャルサービスとも連携し、カーシェアで得た収入を車両リース料金の支払いに充てる金融商品も開発する。
国内向けには、新しいコネクティッドサービスを次期「プリウスPHV」に搭載する。車の充電状態の確認やエアコンの操作などができるスマホアプリ「ポケットPHV」や、ビッグデータを使って車両の異常要因を特定する「eケアサービス」、車両トラブルを事前に知らせる「故障予知サービス」を展開する。
MSPFはカーシェアなどのモビリティサービス事業者との連携を通じて開発してきた、車両管理システムやリースプログラムなどの機能を包括したプラットフォーム。カーシェアのほか、ライドシェアやレンタカー、タクシー、保険などの事業者と連携し、サービスの内容に応じてMSPFを通じた機能の提供を行う。
スマホなどの通信端末やビッグデータを活用する取り組みには競合が多い。友山専務役員は「車の制御技術や顧客との接点に関することについてはイニシアチブが取れるが、他の部分は他社と協調していく。スマホではなく車を情報端末としてデータ収集し、車の利用に関する特有のサービスを提供したい」と方針を語った。
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