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AIの答案を「代筆」する「東ロボ手くん」誕生:ロボットは東大に入れるか
デンソーウェーブとデンソーが、試験の答えをAIに代わって書いてくれるロボットアーム「東ロボ手くん」を開発。
デンソーウェーブとデンソーは、人工知能(AI)が思考した内容を紙に筆記するロボットアーム「東ロボ手くん(とうろぼてくん)」を開発した。国立情報学研究所を中心とするAIプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の一環で、AIの答案を解答用紙に書く「解答代筆ロボット」として開発。論述式模試を解く際に使っている。
デンソーウェーブ製の産業用ロボットアーム「VS−060」を左右に搭載。AIがメールサーバを経由して解答案を送信すると、左腕のカメラで筆記箇所を確認し、右腕のボールペンで筆記を行う。解答用紙が斜めになった場合でも、紙の位置と傾きを把握し、マス目の中に正確に筆記できる。
解答用紙の表面を書き終えた後、紙を「裏返す」動作にはまだ未対応だが、記入が終わると自動で手を挙げ、人間に用紙の裏返しを求める機能を搭載する。
開発に携わったのは、将棋の「電王戦」で使用する“代指しロボット”「電王手くんシリーズ」の産みの親として知られる、デンソーウェーブの澤田洋祐さん。
「『電王手くんシリーズ』は、人の巧みな技を機械的なアプローチで再現したが、今回の『東ロボ手くん』は、人間に近いアプローチで最適解を探った。AIの処理結果を可視化・実体化する“フィジカルデバイス”というコンセプトは同じだが、開発方針は異なっている。」(澤田さん)
11月14日に開催された同プロジェクトの成果報告会では、解答筆記のデモンストレーションが行われ、「東ロボ手くん」が速やかに筆記を行う様子が披露された。
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