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DeNAはなぜメディア運営方針を変更したのかキュレーション問題で経営陣が謝罪(1/2 ページ)

DeNAは、12月7日に記者会見を開催。同社のキュレーションメディアが信ぴょう性の低い記事を掲載していた問題について、謝罪と経緯説明を実施した。

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 DeNAは、医療情報サイト「WELQ」をはじめとする10種類のキュレーションメディアが信ぴょう性の低い記事を掲載していた問題について、12月7日に記者会見を開催。守安功社長と創業者の南場智子会長らが登壇し、謝罪と経緯説明を行った。

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謝罪する経営陣

 同社は2014年、インテリア関連情報を扱うキュレーションメディア「iemo」を運営するiemoと、ファッションや恋愛などの女性向け記事を展開するキュレーションメディア「MERY」を運営するペロリの2社を買収。キュレーション事業を開始し、媒体を10種類に拡充するなど注力してきた。

 しかし今年11月、WELQが専門家による監修を設けておらず、知識の乏しい外部ライターや一般会員が記事を大量生産していること、他サイトの文言の転用を促すようなマニュアルを設けていること、行き過ぎたSEO対策をしていることが発覚し、批判が相次いだ。

 こうした批判を受けて、DeNAはまず11月29日にWELQの記事を非公開に。12月1日にはMERY以外の8つのメディアを非公開としたほか、守安社長が月額報酬の30%を6カ月間減額する処分を発表した。そして12月5日に、第三者による調査委員会の設置と、残るMERYの記事の非公開化が発表。全てのキュレーションメディアが運営を停止していた。

一線を越えたメディア運営に走った理由

 守安社長はまず、「関係者の皆さまに、ご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。WELQの運営方針については、「当初は筋力トレーニングやコスメなど、簡単なヘルスケア情報を発信するつもりだった。事業の成長を追い求めるあまり、内容が行き過ぎてしまった」と説明した。また、12月7日付で相談窓口を設置することも発表。「WELQの記事を参考にした結果、健康被害を受けた」「文章や画像を無断で引用された」などの問い合わせに対応していくという。

 「著作権保有者への配慮が不足していた。情報の質と正確性を担保できず、メディア事業に関する認識が甘かった」(守安社長)

 DeNAのメディア事業が正しい方向に進む可能性はなかったのか。同社はかつて、「medエッジ(メドエッジ)」と呼ぶ医療情報サイトを運営。有識者による監修付きで、医療ライターが海外の医学論文の解説など専門的な記事を配信していた。しかし、読者を獲得できず伸び悩んだという。

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medエッジの画面イメージ(=DeNAのプレスリリースより)

 「想像以上に読者数が増えず、存続を悩んでいた時期にiemoとペロリの買収が決まり、社としてキュレーションに注力することになった。結果的にmedエッジはクローズし、記事の一部をWELQ開始時の元コンテンツとして再利用した」(南場会長)

 自社メディアの運営からキュレーションメディアの運営へと方針転換して以降、業績は順調に増加。2018年3月期にはキュレーションプラットフォーム事業で10億円の利益を上げることが想定されていた(12月5日に取り下げ)。

 今後医療情報サイトを再開する場合は、協賛型の広告モデルを採用するなど、コストをかけて良質な記事を配信できるよう努めるという。

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