「儲かっているのに、撤退」QBハウスの事例:水曜インタビュー劇場(散髪公演)(1/5 ページ)
ヘアカット専門店「QBハウス」が、海外で伸びている。来店客数・店舗数をみると、この10年で10倍に。ただ、出店したものの、撤退に追い込まれるケースもあったとか。担当者に聞いてみると、日本の常識ではちょっと考えられないような話もあって……。
水曜インタビュー劇場(散髪公演):
空いた時間に、ささっと髪を切りたい――。そんなときにヘアカット専門店「QBハウス」(運営:キュービーネットホールディングス)で切ったことがある人も多いのでは。カット時間は10分で、料金は1000円(税抜き)。「短時間、低価格」をウリにした理容店が、海外でも増えているのをご存じだろうか。
2002年、シンガポールに進出。現地で手ごたえをつかんだQBハウスは、香港や台湾に出店し、2017年夏にはニューヨーク進出も予定している。来店客数と店舗数をみると、この10年で10倍に。そんなものスゴい数字をみると、当然、ライバルも登場してくる。「短時間、低価格」を真似た模倣店が増えていく中で、QBハウスはどのような手を打ってきたのか。
前回、そのような話を中心に聞いたが、今回は出店戦略について。日本と海外の店でどのような違いがあるのか。キュービーネットホールディングスで海外事業を担当している取締役の松本修さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
→後編、本記事
日々の生活シーンの中に
土肥: QBハウスはどんなところに出店しているのか。日本の店舗をみると、駅前だったり、商業施設の中であったり、オフィス街だったり。人がたくさんいるところを中心に出店している印象がありますが、海外ではいかがでしょうか?
松本: 基本的には同じです。駅でいうと、乗降客数や人口密度が高いところが多いですね。日本でいえば、東京・新宿・渋谷といった乗降客数が多いところにある店舗は人気があります。商業施設でいうと、ショッピングセンターのほかに、地域のいわゆる“一番店”の中も好調です。例えば、東京の人は知らないけれど、埼玉にある地元のスーパーとか。集客力のある商業施設に出店すると、人気店に成長する傾向がありますね。
土肥: やはり、「人がたくさん集まっている」「人がたくさん歩いている」といったところに店舗を出されているわけですね。
松本: たくさんの人が乗り降りしている駅、たくさんの人が利用しているショッピングセンター、たくさんの人が集まってくる地元のスーパー。出店を検討する際、これらの条件は重要になりますが、それだけではありません。「人の導線」にも注目しています。QBハウスは、日々の生活シーンの中になければいけないと思っています。
土肥: 日々の生活シーンの中に? どういう意味でしょうか?
松本: ビジネスパーソンであれば、通勤で鉄道に乗るために駅に行く、そして会社に到着する。休日は商業施設で買い物をする。そうした日常生活の途中に「立ち寄りやすいなあ」「手軽に行きやすいなあ」と感じられるような場所に店舗を構えなければいけません。駅中であれば人がたくさん歩いているところよりも、「髪を切ろうかなあ」と思えるところのほうがいいかもしれない。商業施設の中であればたくさんの人が買い物をしているところよりも、建物の隣のほうがいいかもしれない。
日本の場合、高齢化が進んでいるので、これからは住宅地の中や郊外などに出店してもいいかもしれません。繰り返しになりますが、出店場所については日本も海外も同じ考え方ですね。
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