「ガリガリ君」の急成長と“大失敗”の舞台裏:アクションリーダーに聞く(1/4 ページ)
1981年の発売以来、右肩上がりで販売本数を伸ばし続けてきたアイスキャンディー「ガリガリ君」――。年間販売本数をみると、2006年は約1億本だったが、2012年には4億本を超え、飛躍的に伸びている。どのようにして販売本数を伸ばしたのか。その仕掛けと、あの“大失敗”の裏側を同社のマーケティング部、萩原史雄部長に聞いた。
食品メーカー、赤城乳業の看板商品として30年以上も国民から愛され続けているアイスキャンディー「ガリガリ君」――。1981年の発売以来、右肩上がりで販売本数を伸ばし続けてきた。2006年は約1億本だったが、2012年には4億本を超え、飛躍的に伸びている。
その立役者が、「ガリガリ君 リッチシリーズ」で「コンポタ味」「シチュー味」などの話題性あふれる商品を世に送り出してきた営業本部 マーケティング部の萩原史雄部長である。
どのようにして販売本数を伸ばしたのか。その仕掛けと、あの“大失敗”の裏側を本人に聞いた。
「ガリガリ君はもっと売れるはず」
萩原さんが同社に入社したのは1995年。2004年にマーケティング部へ異動するまで、営業部でスーパーやコンビニを担当してきた。萩原さんは営業部にいたときから「ガリガリ君のポテンシャルはこの程度ではない。もっと売り上げを伸ばせるはずだ」と感じていたという。
「例えばスーパーの店頭でキャンペーン販売をするとき、現場にいると分かるのですが、とにかくお客さんの食い付きがスゴいんですよ。店頭でお客さん同士がガリガリ君の話題で盛り上がっていてね。仕掛け方次第で、売り上げはもっと伸びるだろうと思いました」
マーケティング部に異動した萩原さんは、より多くのユーザーに周知させるために、商品との接点をより強化することを考えた。さまざまな生活シーンの中から商品を知ってもらうきっかけをつくるため、他社とコラボしたキャンペーンを積極的に打ち出していったのだ。
例えば、ゲーム会社とはガリガリ君のゲームを開発し、出版社とは漫画の連載をはじめ、玩具メーカーとは「ガチャガチャ」のストラップもつくった。
他にも、サッカーワールドカップなどの大きなスポーツイベントとタイアップしてスポーツファンを取り込んだり、受験シーズンには塾とコラボした「おみくじ付きアイス」を販売するなど、「絶えず新しいコラボ企画を仕掛けて、とにかく商品との接点を増やすことを意識した」という。
現在も他社とのコラボ企画に積極的であり、昨年はJR東日本のスキー旅行キャンペーン「JR SKISKI」とガリガリ君の妹、ガリ子ちゃんがコラボして話題を集めた。徹底した接点強化の取り組みが徐々に効果を発揮し、販売本数の増加へとつながったのだ。
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