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フィンテックの本命「ブロックチェーン」は伸び悩む?意外な分野で活用される可能性

IDC Japanが国内の金融IT市場予測を発表。フィンテック市場は現在は小規模だが、融資や保険の分野で発展を遂げる一方、ブロックチェーンはやや伸び悩むと予測する。

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 IDC Japanが2月1日発表した国内の金融IT市場(銀行、保険、証券、その他金融関連企業のIT支出)予測によると、2017年の同市場規模は前年とほぼ横ばいの約2兆円になる見込みだ。今後はマイナス金利政策が企業の資金運用に悪影響を及ぼすものの、最新のIT技術を活用した金融サービス「フィンテック」(FinTech)の成長などでカバー。15〜20年にかけて1.1%の年平均成長率で緩やかに伸びると予測している。

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国内の金融IT市場予測

 17年のフィンテック単体での国内市場規模は約110億円だが、20年には3倍の約338億円に拡大すると試算。中でも、自社や関連企業が持つECサイトの取引履歴をもとに顧客の与信を分析し、融資を行う「トランザクションレンディング」など、サービス分野の成長を見込んでいる。

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国内のフィンテック市場規模
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IDC Japanの市村リサーチマネジャー

 サービスの開発に当たっては、金融機関がスタートアップ企業やITベンダーなどと連携するケースが増えていきそうだ。IDC Japanの市村仁アナリストは「ジャパンネット銀行がクラウド会計ソフトのfreeeと連携し、会計システムのデータを利用して審査を行うローン商品を開発したケースが代表例。今後はこのような取り組みが保険会社や証券会社でも本格化する」と予測する。

 スタートアップ企業が既存の金融機関と競合する可能性も指摘されているが、「基本的にはそれぞれのノウハウを生かして協業していく。競争が激化するのはカード決済サービスなど一部にとどまる」とみている。

 保険分野では、自動車に通信システムを取り付け、ドライバーの運転技術を細かく分析して保険料の算出につなげる「テレマティクス保険」が発展する。「自動車保険にとどまらず、生命保険にもデータ分析が進出するだろう。人間がウェアラブルデバイスを装着し、心拍数などのデータを分析して保険料を算出する取り組みが増えるかもしれない」(市村氏)という。

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ジャパンネットとfreeeが手掛ける「ビジネスローン」
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ソニー損保のテレマティクス保険「やさしい運転 キャッシュバック型」

 一方、仮想通貨「ビットコイン」の取引技術として注目を集めるブロックチェーン技術はやや伸び悩むと予測。市村アナリストは「金融機関にヒアリングした結果、決済のスピードが遅く時間がかかるという意見や、導入コストを懸念する意見があった。ビットコインは決済手段としての認知度が低いため、実務では使いづらいのではないだろうか」と指摘。「IoT(モノのインターネット)技術の導入が進む製造業でサプライチェーンマネジメントに使用される可能性や、地方自治体が地方創生のための地域通貨として活用する可能性の方が高い」とみる。

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市村氏が予測するフィンテックの動向

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