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AIが企業と顧客の接点に アクセンチュア最新調査2017年のテクノロジートレンド

アクセンチュアが発表した年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2017」に関して、このたび日本のプレス向けに説明会を開催した。今後、AIは新たなユーザーインタフェースとなって、企業のビジネス拡大に貢献していくという。

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 大手コンサルティングファームのアクセンチュアは4月12日、世界のテクノロジートレンドに関する年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2017」を日本のプレス向けに説明した。

 同レポートは今後3年間でビジネスや社会に変革をもたらす技術トレンドを予測したもの。世界31カ国、5400人以上の上級役職者およびIT担当役員を対象に調査した。回答者の大多数が年商60億ドル(約6575億円)以上の大企業に属する。

 今回発表されたトレンドは以下の5つ。

 (1)AIは新しいユーザーインタフェース(AI IS THE NEW UI)

 (2)無限の可能性を持つエコシステム(ECO SYSTEM POWER PLAYS)

 (3)人材のマーケットプレイス(WORK FORCE MARKET PLACE)

 (4)“ひと”のためのデザイン(DESIGN FOR HUMANS)

 (5)未踏の領域へ(THE UNCHARTED)

「Accenture Technology Vision 2017」でのテクノロジートレンド
「Accenture Technology Vision 2017」でのテクノロジートレンド

 同社が特に強調するのが(1)と(3)だ。

 AIは企業と顧客をつなぐインタフェースとして活用が進み、既にビジネスの拡大に貢献し始めているという。例えば、米Amazonの音声認識技術「Amazon Alexa」は、家電をはじめ約700のデバイスに搭載されていることが年初の家電見本市「CES」で明らかになった。音声によって操作できるスマート冷蔵庫などが現実のものとなりつつある。

 また、Alexaの技術を使ったスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」の所有者は、オンライン購買の大半をAmazonで実施するほか、Amazon Echoの導入によって購買機会が6%増、購入金額は10%増になるなど、Amazonに直接的な収益をもたらしているという。

 ビジネスにおけるAIの強みについて、アクセンチュアの執行役員で、デジタル コンサルティング本部の立花良範統括本部長は「膨大な画像マッチングなどの作業をしてもAIは疲れないし、顧客のニーズを収集、学習することで永遠に成長可能。さらに1対多数のコミュニケーションができるし、人だけでなく機械同士でも対話する。これらは人間には困難だ」と強調する。

アクセンチュア 執行役員 デジタル コンサルティング本部の立花良範統括本部長
アクセンチュア 執行役員 デジタル コンサルティング本部の立花良範統括本部長

 (3)の企業がビジネスで活用する人材に関しては、以前はすべて内製、つまり自社の社員だけだったのが、外部パートナーへのアウトソース、さらにはクラウドソースの活用と広がりが出てきた。今後、業務のオンライン化が加速度的に進むデジタルビジネス時代においては、多様なリソースの組み合わせが不可欠だという。

 成功事例として立花氏が挙げるのが、オープンソースのブログ・CMSプラットフォーム「WordPress」を提供する米Automatticだ。同社は545人のスタッフが53カ国に点在し、プロジェクトチーム単位で仕事をするワークスタイルを採用。これによって組織的ヒエラルキーを排除している。また、仕事の進ちょく管理はWordPressブログやチャット、コラボレーションツールの「Slack」など、基本的にオンラインで完結するため場所にもとらわれない。そんな同社は時価総額10億ドルの企業に成長している。

 ただし、日本企業がこうした変革を進める上では考慮すべき点が多い。例えば、企業間を行き来する流動的な人材に対する福利厚生は誰が提供するのか、プロジェクトの仕事と仕事の合間にいるフリーランスは失業中とみなされるのかなど、「行政と民間双方での取り組みが必要」と立花氏は指摘した。

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