実は怖い、インド便のトイレ:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
航空会社のトラブルが相次いでいる。男性が警察に引きずり出されたり、母親がベビーカーを奪われたり。いずれも米国の航空会社で起きたわけだが、客室乗務員によると「インド便で深刻な問題がある」という。どういうことかというと……。
米国の航空会社でトラブルが続く理由
一連の騒動で筆者が最も疑問に思ったのは、なぜ米国の航空会社でトラブルが続いているのかということだ。元シンガポール航空の客室乗務員(以下、S氏)は、まず今回のアメリカン航空の件について、「乗務員のあの態度はひどい。サービス業のそれではない」と一笑に付し、さらにこう言った。「そもそも米国の航空会社なんて、嫌なら乗るな、という感覚でいたほうがいい。だいたい、米国の旅行会社から良いサービスを得られると期待してはいけない。米国でハンバーガーショップに入るのと同じ感覚でいないと」
確かに、両航空会社の顧客満足度は高くない。英航空業界調査会社スカイトラックスの調査(2016年)を見ると、シンガポール航空は100社中3位(前年2位)だったのに対し、ユナイテッド航空は68位、アメリカン航空は77位だった。先進国の航空会社としては最低レベルである。シンガポール航空の乗務員からみたら、ダメダメな会社である。
S氏は、その差についてこう述べた。「シンガポール航空は、乗客が何よりも重要で、乗客は客室乗務員よりも断然大事にされる。なぜならシンガポール航空は世界中の航空会社ランキングに命を賭けていて、評判を大切にしているから。自分のところの客室乗務員にはかなり厳しく、今回のアメリカン航空やユナイテッド航空のケースなどが起きたら、客室乗務員や関係者は即刻クビだろう」。サービス向上というよりも、ランキング向上がすべて、という感じらしい。
さすが、女性乗務員には入社時に登録した制服サイズをずっと変更させない会社だけのことはある。しかも毎年測定があり、制服がきつくなるほど太れば、痩(や)せるまで強制的に地上勤務になり、飛行機には乗せてもらえないという。「大きいサイズに替えるなら明確な理由を報告書に記入して提出する必要があった」と、S氏は振り返る。
実はシンガポールでは客室乗務員という職業はあまりいい仕事だとは見られていない。S氏は「以前、シンガポールの空港でシンガポール人の親子が自分を指差して、『勉強しないとあんな風になっちゃうのよ』と言われたことがあった」と言う。大卒でなる仕事ではないということらしいが、客室乗務員があまり大事にされない背景には、そんな側面もあるのかもしれない。
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