赤城乳業の名物部長が語る「ガリガリ君」秘話:「異端」の販売戦略とは(1/6 ページ)
ITmedia ビジネスオンライン編集部が主催する読者イベント「アクションリーダー学」に、「ガリガリ君」のマーケティングを手掛ける赤城乳業 営業本部 マーケティング部の萩原史雄部長が登壇。大ヒットの裏話を語った。
子供から大人まで、年齢層を問わず愛され続ける赤城乳業のアイスクリーム「ガリガリ君」――。1981年の発売以降、右肩上がりで販売本数を伸ばし続け、2013年には4億5000万本を突破した。定番の「ソーダ味」だけでなく、「コーンポタージュ味」「シチュー味」など、独創的な限定商品も人気となっている。
そんなガリガリ君の商品開発やマーケティングを手掛けてきたのが、営業本部 マーケティング部の萩原史雄部長だ。萩原部長は94年に入社後、10年ほど営業の経験を積み、04年にマーケティング部へ異動。ガリガリ君のブランド戦略を担い、さまざまなフレーバーの新商品を開発したほか、小学館やバンダイなど他業種の企業と手を組んだ“コラボ企画”を次々と実現。売り上げ拡大の立役者となった。
では、萩原部長は、ガリガリ君をどのようにして人気商品にまで育て上げたのだろうか――。ITmedia ビジネスオンライン編集部が主催する読者イベント「アクションリーダー学」で、萩原部長が13年にわたる取り組みの内容について語った。
ガリガリ君は「コンビニと一緒に成長した商品」
ITmedia ビジネスオンライン編集部(以下「編集部」): ご登壇いただきありがとうございます。「ガリガリ君」は81年の発売で、萩原部長が幼い頃から世に出ていました。当時の印象はいかがでしたか?
萩原部長: 私は当時小学生で、グレープフルーツ味が安くておいしかったことを覚えています。今とは違って、ゴリラのようなイメージキャラクターを起用していたので、「変なアイスがあるな」とも思っていました(笑)
編集部: 萩原部長が入社してからマーケティング部に異動するまでの、ガリガリ君のイメージに関してはいかがでしょうか。
萩原部長: コンビニの成長と一緒にガリガリ君も育った印象です。コンビニの拡大のおかげで、売上本数は94年には6600万本にまで成長しました。
その後、売り上げが落ち込む時期もあったようですが、2000年に「ガリガリ君のうた」を作ってCMで流したところ、年間1億本にまで伸びました。その後も順調に拡大し、私が異動した04年には、年間1億5000万本を売り上げる商品になっていました。
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