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「1人総務」驚異の働き方のカギ属人化はどう防ぐ?(1/2 ページ)

複雑で多岐にわたる総務の仕事。そんなバックオフィス業務を「デジタル化」でたった1人でこなしている企業がスキャンマンだ。「1人総務」を可能にするカギを聞いた。

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 企業の要であり、土台を支えているバックオフィス業務。しかし、まだまだワークフローはデジタル化できておらず、総務に負荷がかかっている企業は数多い。「月末になると、処理すべき業務が集中していて、夜中までの残業になってしまう……」という問題は、総務や管理部門の大きな悩みのタネになっている。

 煩雑で多岐にわたる総務の仕事の負担は、どうすれば減るのだろう。この問いを、「デジタル化」という方法で解決し、“1人総務”でこなしている企業がスキャンマンだ。2013年8月に杉本勝男社長をはじめとする社員3人でスタートした同社は、その社名の通り、紙文書をスキャンしてデータ化するサービスを提供している。

 顧客が書類を持ち込むタイプではなく、派遣・出張型であることが特徴で、手間の少なさやセキュリティからの需要は高い。現在はアルバイトを含め約50人が働いている。

 顧客は個人から法人までさまざまだが、主なニーズは名刺のスキャン。名刺管理サービス「Sansan」「Eight」とも提携しており、顧客数も件数も年々増えている。また、契約書や重要書類のスキャンの申し込みも多い。ここ数カ月は、オフィス移転に伴うペーパーレスや、「働き方改革」のためにクラウド化を推進したい企業からの相談を受けることが急増しているという。

 業務のデジタル化は、総務の働き方をどのように変えるのか? 杉本社長と“1人総務”の久保田ゆみえさんに解説してもらった。


業務のデジタル化は、働き方や会社をどのように変えるのか? スキャンマンが解説

クラウドサービスが可能にする“1人総務”


スキャンマンの“1人総務”久保田ゆみえさん

 そんなスキャンマンのバックオフィス業務は、さまざまなWebサービスによって支えられている。その全てを1人で担っているのが総務の久保田さんだ。久保田さんはオフィスの中で、このような業務をこなしている――。

 顧客先でスキャンをするスタッフの勤怠管理は「Googleスプレッドシート」「トレロ」「LINE」で確認。請求書や納品書は「Misoca(ミソカ)」を利用して作成する。作成から郵送までができるサービスなので、作業者が必要事項を入力し、久保田さんは確認・管理を担当する。度々かかってくる問い合わせや依頼の電話応対は、「050plus」を使い、スマートフォンでも代表電話が取れるように。

 出入金管理は「NP後払い」を利用して負担を減らすとともに、スタッフの交通費などの経費精算は「Googleフォーム」「Googleスプレッドシート」で管理。経理業務は「freee」を活用し、外部スタッフに託している。

 時折発生する契約書の締結や管理は「クラウドサイン」を利用し、抜け・漏れや弁護士への依頼の手間をなくす。社内マニュアルは「Teachme Biz」で共有しているため、社外で作業をしているスタッフもすぐに確認できる……。

 10以上のサービスを次々と使いこなす久保田さん。このように書くと「IT知識が豊富で、IT企業でバリバリ働いてきたのだろうな」と思う読者もいるかもしれないが、久保田さんの前職は接客販売業だ。クラウドサービスどころか、「会社でPCを使うことはほとんどなかった」という。「ですが、サービスを利用する上で困ったことはほとんどありません。クラウドサービスって、作りが似ているところがあると思っています。1つ使えるようになると、他のサービスも抵抗なく使えますね」(久保田さん)と語る。

 これらのサービスの導入を決めているのは杉本社長。導入において重視するポイントはシンプルだ。それは「クラウドであること」 と、「スキャンマンに合っていること」

 「スキャンマンの業務は“派遣・出張型”。作業者は外に出向くことが非常に多いので、会社のPCからしかアクセスできないようなサービスは検討外でした。外からのアクセスに対応していて、なおかつセキュリティがしっかりしていることを考えると、自然、“クラウドサービスであること”が必須になります」(杉本社長)

 いいサービスを見つけても、すぐに導入するわけではない。まずは「お試し版」を使い、実際に業務を担当することになる久保田さんからフィードバックを受ける。そこで、使い勝手がよく、自社に合っていて、かつ業務を効率化するサービスであれば、導入を決めるという。

 例えば検討の結果導入されなかったのは、カードリーダーなどを使った勤怠管理システム。導入している企業も多いが、スキャンマンは「オフィスで働く」スタッフよりも、「依頼主のもとに直行してスキャン作業を行い直帰する」といった働き方をするスタッフの方が多かった。

 「現状、勤怠管理はLINEで行っていますが、今後人員が増えたら、勤怠管理を導入することもあり得ます。業務内容や会社の規模に応じて、その都度検討していきます」(杉本社長)

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