ヤッホーブルーイング「クラフトザウルス」の狙いは?:クラフトビール新商品
長野・軽井沢に本社を構えるクラフトビール大手のヤッホーブルーイングが新商品を発売。軽井沢エリア限定での販売となる。
国内クラフトビール大手のヤッホーブルーイングは7月4日に新商品ブランド「軽井沢ビール クラフトザウルス」を長野県軽井沢エリア限定で発売する。通信販売などはせず、その土地に来ないと飲めないという希少性を打ち出すことで、クラフトビール好きの観光客などにアピールしたい考えだ。
発売するのは2種類。缶タイプの「ペールエール」と瓶タイプの「ヴィンテージエール」。価格はペールエールが350ミリリットルで288円(税込)、ヴィンテージエールが375ミリリットルで1383円(同)。
商品の製法にこだわった。ペールエールは同社が原材料としてストックする約30種類のホップから4種類を厳選。通常は仕込み段階でしかホップを入れないが、同商品は発酵段階でも72時間ホップを漬け込む。こうすることで心地良い香りだけを引き出すことができるそうだ。
ヴィンテージエールは6カ月以上も熟成させるのが特徴だ。通常は10〜14日程度なので、実に10倍以上の長い熟成期間を要する。これによってアルコール度数は10%と高くなり、重厚な味わいになる。「バーレイワイン」というビアスタイル(ビールの種類)で、「日本に200〜300社あるクラフトビールメーカーのうち5〜10社しか作ってない」とヤッホーブルーイングの醸造責任者である森田正文氏は話す。
ヴィンテージエールに関しては、昨年に「軽井沢高原ビール」のバーレイワインとしてテスト販売を実施。地元・軽井沢のスーパーマーケット「ツルヤ」などで展開したところ、当初の目標である半年を待たずして1カ月半で1300本が完売となったため、手応えを感じて今回の商品化に結び付いたという。
森田氏によると、5年ほど前からクラフトザウルスの原型となるビールの開発は進めていて、昨年夏ごろにエリア限定の商品ブランドにすることが決まったという。
同社は以前から「軽井沢高原ビール」というエリア限定商品を販売しているが、お土産用途がほとんどでライトユーザーが多い。それとは別にもっと本格的な軽井沢限定のクラフトビールを作ることで、それを好む人々を集客するとともに、軽井沢を日本一のクラフトビールの町にしたいという思いがあるという。
クラフトザウルスを皮切りに、今後も毎年、軽井沢エリア限定の新商品を発売する方針だ。
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