マツダ、ガソリン初の圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」実用化:ガソリンとディーゼルの長所融合
マツダは、ガソリンエンジンで初めて圧縮着火の実用化に成功した「SKYACTIV-X」を開発し、2019年から導入すると発表した。
マツダは8月8日、ガソリンエンジンとしては世界で初めて「圧縮着火」の実用化に成功した「SKYACTIV-X」を開発し、2019年から導入すると発表した。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所を融合し、燃費率とトルクの向上を実現するなど、環境性能と動力性能を両立できるという。
【訂正 「SKYACTIV」表記の誤りを訂正しました。】
一般にガソリンエンジンの場合、ガソリンと空気の混合気をシリンダー内で点火プラグの火花で着火する。これに対し、ディーゼルエンジンはシリンダー内のピストンで圧縮して高熱になった空気に軽油を噴射することで自己着火させる仕組みで、点火プラグは不要だ。
マツダが開発した「SKYACTIV-X」は、ディーゼルのように、混合気をピストンで圧縮することで自己着火させる圧縮着火(Compression Ignition)を世界で初めて実用化した。
従来の火花点火と併用する独自の燃焼方式「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)」(火花点火制御圧縮着火)により、実用化の課題になっていた圧縮着火の成立範囲を拡大。火花点火と圧縮着火のシームレスな切り替えを実現しているという。
新エンジンのメリットは動力性能と環境性能の両立だ。圧縮着火によりエンジンレスポンスが向上する上、燃費改善のために装備するエア供給機能を活用し、現行のガソリンエンジン「SKYACTIV-G」に比べ、トルクが全域で10%以上、最大30%アップするという。
また混合気を理論空燃比よりはるかに薄くする「スーパーリーンバーン」により、エンジン単体の燃費率は現行SKYACTIV-Gと比べて最大で20〜30%程度改善。2008年の同社ガソリンエンジンと比べると35〜45%も良くなり、最新のクリーンディーゼル「SKYACTIV-D」と同等以上になるという。
また、低燃費率の領域が極めて広いというエンジン特性を生かし、ギア比の選定自由度が大幅に広がり、走りと燃費を高次元で両立できるという。
「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」
マツダは新たに「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表。二酸化炭素(CO2)の企業平均排出量を50年までに10年比で90%削減を目指し、30年までに50%削減を目標に掲げる。
英仏で電気自動車(EV)化を打ち出す動きがあるが、「今後も世界的に大多数を占めると予測され、CO2の削減に最も効果のある内燃機関の理想を徹底的に追求し、効率的な電動化技術と組み合わせて導入」。一方で、規制がある地域などでEVなどの電気駆動技術を2019年から展開する計画も明らかにした。
自動運転技術は実証実験を20年に開始し、25年までに標準装備化する。
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