「クールビズ」が浸透しにくい理由とは?:常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)
この時期、話題になるのがクールビズである。実施率は6割にとどまっているようだが、その理由について考えてみたい。
本格的に夏がやってきた。暑い日々が続いている。8月9日は都心で37度まで気温が上がった。さて、この時期になると話題になるのがクールビズである。これは定着しているのだろうか。定着していないのであればその理由は何なのか、考えてみたい。
クールビズが始まったのは2005年。実はもう12年も経つ。クールビズというと、ノーネクタイのワイシャツやポロシャツなどで過ごすスタイルを思い出す人も多いだろう。実際はファッションだけではない。夏期の室温の適正化と、その温度に適した軽装化の取り組みを促す一連のムーブメントを指す。現在では5月1日から始まることが慣例になっている。
私が新人だった20年前は、夏でも客先にはスーツとネクタイで行っていた。移動中だけ営業資料を運ぶ紙袋にスーツをしまうなど、工夫が必要だった。このようなサラリーマンの姿をほとんど見なくなったことを考えると、クールビズは大きな進化である。
では、実際はどれくらい普及しているのだろうか。日本気象協会が17年5月にオフィスで働くビジネスパーソン400人を対象に実施した「クールビズに関するアンケート調査」の結果を見てみよう。
クールビズの認知度は98.3%だが、実施率は61.5%にとどまっている。クールビズの歴史は長いが、「普及している」とは言えないのが現状のようだ。
クールビズを実施した方が快適であることは間違いないはずだが、なぜこのような結果になっているのか。もしかすると、スーツを着ている方が楽な人もそれなりにいるのかもしれない。
実際、クールビズのスタイルでカッコよく決めるのは難しい。クールビズの男性たちを見ると切なくなる。はっきり言って、似合っていないのである。ビシっと着こなせていないというか、まるで、中学高校の「夏服」のような違和感があるのだ。
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