「世の中全て分かっている系」が厄介な理由:常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)
「意識高い系」より面倒くさいのが「世の中全て分かっている系」の人である。自分の得意分野と、生きてきた時代を基準に全てを語ろうとするので非常に厄介なのだ。
秀逸な本と出会ってしまった。『現在ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(イースト新書)がそれだ。気鋭の論者3人(北田暁大氏、栗原裕一郎氏、後藤和智氏)がタイトル通り、宮台真司氏や東浩紀氏、荻上チキ氏、古市憲寿氏、イケダハヤト氏などの言論人について徹底検証している。
この本の中で、実に絶妙なフレーズがあった。それは「世の中全て分かっている系」という言葉である。例として、宮台真司氏や東浩紀氏が挙げられている(なお、イケダハヤト氏は「俺、スゴい系」とのこと)。
一応説明すると、世の中全て分かっている系とは全てを分かっている“つもり”になっている人のことである。この言葉の破壊力に私は震えてしまった。私が仕掛けた「意識高い系」以上のインパクトであり、こう評価されたときの絶望感は半端ないだろう。
この、世の中全て分かっている系だが、別に評論家や、政治家、経営者だけではなく、普通の職場にも数多くいる。そう、いかにも「俺は業界や自社のことを生き字引のように知っている」と言ってマウンティングしてくる上司や先輩だ。
いや、これは上の世代に限らない。同僚や部下、後輩でも、ちょっと賢いが故に「こんなことをやっていても無駄だ」と言って、見下してくるタイプもそうだ。
意識高い系はまだ、努力して成長したいという可愛げがあるのでまだ良い。ただ、世の中全て分かっている系は達観しており、相手のことなど関係なく、自分の得意分野と、生きてきた時代をもとに全てを語ろうとするから非常に厄介なのだ。
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