「エナジードリンク率高い系」はもう限界がきている:常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)
エナジードリンクは徐々に「社畜アイテム」に変わってきた。そろそろ、普段の食生活や睡眠時間のコントロールで難局を乗り切るという発想になってもいいと思うのだが、「気合いで何とかする」という日本人の体質は変わらないようだ。
「ファイトー! 一発!」でおなじみの「リポビタンD」(大正製薬)のCMが話題となっている。熱血路線からお笑い路線に変わっているのだ。ボルダリングの場面で、一緒に登っている女性が落ちそうになり、「ファイトー!」とケイン・コスギが叫んで手を差し伸べるのだが、女性は手を掴まずにするすると登っていくという内容だ。
この商品のCMは以前から、時代錯誤だと言われていた。最近までこのCMが熱血路線で続いていたのは、やはり日本が過労礼賛社会だということなのだろう。笑えるものになったこのCMも、男性の方は熱血、ファイト路線である、相変わらず。
リポビタンDといえば、このCMと、勉強や仕事で忙しかったときの思い出しかない。最初に入った企業では、新人時代に飛び込み営業研修があったのだが、その初日は事業部の全体朝礼でキックオフが行われ、リポビタンDをイッキ飲みさせられたあと、ダッシュで会社を出て行くという儀式があった。今思うと、社畜そのものだ。
滋養強壮剤と言えば、「24時間戦えますか」のCMで一世を風靡(ふうび)した、「リゲイン」(第一三共ヘルスケア)も懐かしい。その後、いやし系のCMに変わっていったり、サントリーと「24時間戦えません」というCMメッセージのコラボ商品をつくったりしてびっくりしたが。
若い人の中には「リポビタンD」や「リゲイン」という商品、さらには滋養強壮剤という名前を聞いてもピンとこない人もいることだろう。そう、時代は「エナジードリンク」なのである。このエナジードリンクという名前自体が相当、意識が高い。「レッドブル」に代表されるこれらの飲み物はスタイリッシュなデザインが受け、ビジネスパーソンに支持されている。
しかし問題は、滋養強壮剤を飲む人が昭和の社畜であるならば、この「エナジードリンク率高い系」とも言える人たちも、21世紀の社畜だということだ。
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