元人事が語る「ブラック企業」の見抜き方・抜け出し方:「人生を無駄にしない会社の選び方」
「ハードワークで低賃金」「福利厚生が未整備」といった環境下で働いており、「自分の会社は『ブラック企業』かもしれない」「会社に残るべきか、辞めるべきか」――などの悩みを抱えている人の指針になるのが、「人生を無駄にしない会社の選び方」だ。
ハードワークで低賃金、福利厚生が未整備、上司が理不尽――といった環境は「ブラック企業」の特徴として挙げられがちだ。だが、人材大手でキャリアコンサルタントや採用担当を歴任し、5000人以上と面接した経験を持つ新田龍氏は、書籍「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社、税別1500円)の中で、「こうした状況は、日本企業では一般的」と断言する。
では、“本当のブラック企業”の特徴は何なのだろうか。同書によると、「面接で説明された待遇と実態が異なる」「給与の遅配がある」「社会保険に加入していない」「仕事で自腹を切ることを強要される」――などだという。こうした企業に一度入社してしまうと退職届を受け取ってもらえない場合も多く、なかなか辞められないという。
だが、入社前の段階できちんと下調べをすれば、ブラック企業への入社は避けられるという。同書では「採用ページで社風の良さが必要以上に強調されている→それしかPRできる要素がない」「頻繁に社名が変わっている→違法行為によるマイナスイメージの払拭を図っている」――などの例を紹介し、Webサイトの精査や社名チェックの重要性を説いている。
おかしな点を見抜けずブラック企業に入社してしまった場合、スムーズに退職するにはどうすればいいか。同書は「『退職を認めない』といわれても対応できるよう、法制度を知っておく」「退職意思の伝え方を『相談』ではなく『報告』とすることで交渉を長引かせない」――などと提言している。
ただ、「もし退職できたとしても、転職先で活躍できるかはその人次第」。活躍できる人の条件には「仕事を楽しめる感覚を持っていること」「常に幅広い好奇心を持ち、自己研さんに励んでいること」――などを挙げている。現在の労働環境に不満を持っている人や、「自社はブラック企業かもしれない」と感じる人は参考になりそうだ。
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