部下の心を折る職場は「飲み会なし」「上司がエリート」:「心が折れる職場」
労働時間や給与体系に問題のない、一見すると“ホワイト”な企業でも、特定の部署でメンタル不調者が続出するケースがあるという。一体何が問題なのだろうか。
労働時間や給与体系に問題のない“ホワイト”な企業でも、特定の部署や管理職のもとでだけメンタル不調者が続出するケースがある――産業カウンセラーの見波利幸氏は、著書「心が折れる職場」(日本経済新聞出版社、税別850円)の中でこう指摘する。
同書によると、問題が起きているチームには「飲み会が少ない」「上司が社内のエリート」――などの共通点があるという。効率よく成果を上げられそうな環境との印象も受けるが、なぜ働く人は心が折れてしまうのだろうか。
飲み会が少ないチームは「仕事が個人プレイになっており、プライベートな内容を話し合えるほどの信頼関係を築けていない場合が多い」という。成果が上がっている時期は問題が表面化しづらいが、「スランプに陥った場合に気軽に相談できる相手がいないため、メンバーはメンタル面を病んでしまう」という。
こうしたドライなチームをマネジメントするのが、効率性を重視し、現場で成果を挙げてきた“エリート上司”だ。エリート上司は問題解決力が高く、部下が失敗しても瞬時に解決できる一方、失敗につながった根本的な問題を話し合わず、使えないと判断した人を切り捨てる傾向があるという。同書は「優秀でも心理面のフォローができない上司のもとでは、部下は『自分は理解されていない』『肝心な時に助けてくれない』――などの悩みを抱えがちになる」と指摘し、対話の重要性を説いている。
状況を改善すべく、管理職向けのメンタルヘルス研修を導入する企業も増えているが、同書は「『規則正しい生活習慣が大事』『部下を厳しく叱責しすぎない』など常識的な内容が多く、参加者の意欲を奪っている」と指摘する。
参加者の興味を引く研修内容は、「睡眠時間の管理方法や、運動などのストレス解消方法を具体的に示す」「過去のメンタルヘルスマネジメントの失敗例を取り上げ、どうすれば改善できたかをディスカッションする」――などを挙げている。部下との接し方に悩む管理職や、研修内容を考案する人事担当者は参考になりそうだ。
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