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世界から見た大相撲問題の本当の「異常さ」 (3/4)

大相撲の暴行事件騒動が、まだくすぶっている。この問題、相撲に詳しくない外国人からはどのように映っているのか。カナダ人ジャーナリストに聞いたところ、相撲界の異常が浮き彫りに……。

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大会前日に酒を酌み交わす問題

 外国の相撲ウォッチャーの間で、相撲は「Fixed」だと見ている人は少なくない。その理由のひとつには、2007年に米国で出版されたベストセラーの『Freakonomics(邦題:ヤバい経済学)』という書籍がある。ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナー氏と、大学教授のスティーヴン・D・レヴィット氏が共同で書いた同書には、相撲についての話が登場する。

 2人は1989年から2000年までの取り組み結果のデータを駆使して、千秋楽で「7勝7敗」の力士についてデータを調べている(力士は1日1戦、15日の15戦を戦う)。相撲では基本的に勝ち越しによって番付が昇格する可能性が高まり、賞金も増える。それを踏まえて、同書は、千秋楽に「7勝7敗」の力士と「8勝6敗」の力士が対戦したときのデータをまとめている。「8勝6敗」の力士は千秋楽で破れても勝ち越すことが決まっており、「7勝7敗」の力士はその取り組みで勝ち越しできるかどうかが決まる。

 そこで過去のデータを見ると、「7勝7敗」の力士が勝つ可能性は普通なら48.7%だが、実際には、79.6%になっていることが分かったと、同書は指摘している。ちなみに「7勝7敗」同士の力士の取り組みでは、両力士とも勝ち越したいために「Fixed」される可能性は低く、真剣勝負になる可能性が高いことが分かったという。同書はこれについて、「最も理にかなった説明は力士らが星のまわし合いの合意をしていることだ。どうしても勝ち星の必要な今回勝たせてくれたら、次回は勝たせてあげる、というものだ」と指摘している。

 この本は400万部を売り上げ、35カ国で翻訳された大ベストセラーで、社会現象にもなった本である(参照リンク)。世界中で多くがこの話を読んでいることになる。

 今回の中間報告で、日本相撲協会はモンゴル力士同士の会合についてどんなコメントをしているのか。以下、紹介したい。

 「『モンゴル力士会』という、いわゆる生活互助会がかなり前からありまして、横綱がいくら、幕内がいくら、十両がいくらということで、場所後の力士会の後に集めて、これを病気になった力士のお見舞金とか、冠婚葬祭の費用、あるいはモンゴルの子どもが病気になった、支援を求められたときに支援金を出すというボランティア活動をしています。そういう意味でこの会は、言われているようなアスリート間で食事をするような会ではありません。ここ数年間はがんになった力士がいたこともあり、以前は残ったお金で忘年会もしたことはあったようですが、ここ数年間はしていないということも確認いたしました」

 ただ鳥取ではそれが実施されたということらしい。

 もともと、貴乃花親方は、モンゴル人力士同士での会食をよろしくないと考えていたという。「貴乃花親方はとんでもない人権侵害をしている」といった指摘もあるが、世界的に見ると親方の考え方が正しい。繰り返すが、確実に対戦することになる相手と大会前日に酒を酌み交わすというのは真剣勝負の個人戦の世界ではあってはならない。

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