なぜスシローは「スイーツ」に力を入れるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
下校時間、部活帰りにスシローへ来店する学生たち(特に女子大生)が増加しており、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客力が上がっている。なぜなのか。今回はスシローが注力する商品改革について考察する。
スシローのサイドメニューが女子大生に人気
まずは、デザート開発を専門に行う「カフェ部」新設の背景について見ていこう。
スシローに限らず、最近の回転すしチェーンのサイドメニューは、ラーメン、うどん、スイーツ、コーヒーなどといった、従来では提供していなかった商品の導入を競い合い、新たな回転すしファンを開拓している。
言葉を変えれば回転すしチェーンは、ファミレス化しており、すしを食べなくてもラーメン店やカフェとして利用する人が増え、市場が拡大している。スシローは中でもスイーツの評価が高く、定番商品となっている「カタラーナアイスブリュレ」「北海道ミルクレープメルバ」「あったかフォンダンショコラ」(冬限定)といった180円の商品がコストパフォーマンスが抜群で、これらを目当てに来店する人も多い。
また、“ポテロー”の異名を取るほど「フライドポテト」の人気が高い。100円というお手頃価格もあって、女子大生が注文するスシローのメニュー1位とのリサーチもあるほど、若者に厚く支持されている。
このようなおやつが目的で、下校時間、部活帰りにスシローへ来店する学生たち(特に女子大生)が増加しており、ランチとディナーの間のアイドルタイムの集客数が上がっている。ここがまさに、スシローがスイーツを強化した理由である。
アップルパイが目的で来店したとしても、小腹が減ればすしの1つもつまむし、スシローに行く習慣ができれば、結婚して子どもが生まれても家族で継続して利用してもらえるだろう。
実際に学生たちからは、「回転すしは友達と長い時間おしゃべりができて居心地がいい」と喜ばれており、そのニーズをスシローはよくつかんでいる。学生たちは低価格ファミレスや、ハンバーガーなどのファストフード店にも行くが、そればかりだと栄養が偏るイメージがあり、健康に良さそうな魚をメインとする回転すしを選択肢に入れ始めている。
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