カヌー騒動の波紋が、学生にも広がり始めている:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)
日本のカヌー界が大きく揺れている。日本選手権に出場した小松正治選手の飲み物に、ライバル関係にあった鈴木康大選手が禁止薬物を混入。大きな波紋を広げているなかで、その影響は中高生にも出始めているという。どういうことかというと……。
スポーツマンシップにあるまじき、前代未聞の愚行と言っていい。昨秋に石川県小松市で行われたカヌースプリントの日本選手権でカヤックシングル(1人乗り)に出場した小松正治選手の飲み物に、ライバル関係にあった鈴木康大選手が故意に禁止薬物を混入していたことが発覚。日本カヌー連盟が発表し、大きな波紋を広げている。
鈴木選手はインターネットを通じて「筋肉増強剤」と称される禁止薬物のメタンジエノンを入手すると日本選手権のレース中、放置されていた小松選手のボトルを見つけて混入。レース後、1位の小松選手はドーピング検査で陽性となり、暫定的な出場停止処分を受けることになる。しかしいわれなき罪を小松選手が簡単に受け入れられるはずもなく、警察に被害届を提出するなど必死の抵抗を続けていた。
そうしたなか、鈴木選手が自ら日本カヌー連盟の古谷利彦専務理事に電話を入れ、混入を認めた。その後、日本カヌー連盟の聞き取り調査で鈴木選手は数年前から小松選手だけでなく他のライバル選手にもパドルに細工をしたり、練習用のGPSを盗んだりしたことも明らかになっている。ドサクサに紛れて金銭まで盗んでいたというから、もはや「犯罪者」のレベルだ。
こうした愚行に及んだ理由について鈴木選手は「東京五輪に出るためにも、どうにかしてライバルを陥れたかった」。これまでジュニア時代からカヌーの才能を開花させ、活躍の幅を広げてきたものの五輪出場の切符はつかめていなかった。
一度は現役から退いてカヌーから離れたが、北京五輪に出場経験のある妻ら家族の強い勧めもあって現役復帰。しかしながら長いブランクと加齢によって思うように結果が伸びず、夢の東京五輪代表の座も遠くなる一方だった。そうした状況に強い焦りが生じてしまったのかもしれない。とはいえ、いかなる理由があるにせよ一切の擁護などできるはずがないのは明白だ。
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