なぜ普及?信頼できる?――ブームの今、「ビットコイン」を基礎から学ぶ:「いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン」
社会現象となりつつある「ビットコイン」。普及の理由や、利用のメリット、取引技術「ブロックチェーン」の仕組みを解説したのが、コインチェックの大塚雄介COO(最高執行責任者)の著書「いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン」だ。
近年、社会現象となりつつある仮想通貨「ビットコイン」。株式と異なり、アプリで24時間・365日取引できる便利さや、比較的利益を得やすい点などが人気を呼んでいる一方、相場の大きな変動が世間を騒がせることや、通貨としての信頼性が議論を呼ぶこともしばしばだ。
ビットコインはなぜ、これほど急速に広まったのだろうか。本当に安全なのだろうか。こうした疑問に答えるのが、取引所大手コインチェックの大塚雄介COO(最高執行責任者)の著書「いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン」(ディスカヴァー・トゥエンティワン、税別1500円)だ。
大塚氏はビットコイン普及の要因として、2008年のリーマンショックや15年のギリシャ金融危機など、国や企業の信頼を揺るがす出来事の発生を挙げている。
中央銀行を持たず、国家が恣意的にコントロールできないビットコインは、こうした不祥事に相場が左右されない。そのため、「円やドルだけでなく、ビットコインに分散投資することでリスク管理を図る投資家が増えた」としている。
「送金時の手数料の安さ」も普及の一因に挙げられるという。現金を国際送金する際、銀行間のやりとりで使用される「SWIFT(国際銀行間金融通信協会)」のシステムでは、一度の取引当たりの手数料が数千円と高額になるケースが多い。
一方ビットコインは、審査などの事務手続きを自動化し、手数料を送金額の1%程度に抑えることに成功。「事業資金の移動、子どもへの仕送り、災害時の寄付、クラウドファンディングの出資など、さまざまな取引の手数料を安く抑えられる」と解説している。
ビットコインの悪用を危惧する声に対しては、過去の全ての取引データを記録する技術「ブロックチェーン」によって透明性を確保しているため、「マネーロンダリングなどの不正操作には悪用されにくい」と反論している。
同書はこのほか、「ビットコインが現実世界での買い物に初めて使用されたのは10年で、米国のエンジニアがピザ2枚を買った」といった雑学や、ビットコインの発行手段「マイニング」の流れなども収録している。賛否両論がつきまとうビットコインだが、その本質を基礎から学びたい人に参考になる。
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