外食産業最後のフロンティア? 急拡大するネット出前市場:加速度的に高まるニーズ(1/2 ページ)
自宅でゆっくり食事をしたいというニーズの高まりを受けて、ネット出前市場が拡大している。外食産業にとっては無視できない存在だ。
「加速度的に宅配のニーズは高まっている」「(宅配は)成長の大きな源泉」――。すかいらーくの谷真社長は2月14日の決算発表でこう言い切った。ネットや電話で最寄りの店舗に商品を注文する利用者が増えている。同社の宅配分野における売上高平均成長率は2015年〜17年で約7%と高水準で推移した。18年には約11%の成長を見込んでいる。
宅配分野を強化するために同社は配送の効率化にも取り組んでいる。17年6月から東京都小平市で6店舗5ブランドの共同配送の実験を行ったところ、売上高が15〜30%程度増えたという。売り上げ増の要因として、広報担当者は「これまで宅配ができなかった店舗も注文を受け付けられるようになった。また、宅配時間が短縮されたことでお客様の利便性が向上したことなどが挙げられる」と説明する。今後、同様の仕組みを他地域にも展開する予定だという。
すかいらーくの広報担当者によると特にネット経由の注文が近年増えているというが、これは同社に限らず業界全体の傾向である。
矢野経済研究所によると16年度の出前市場は約6500億円。今後も拡大が見込まれるが、けん引するのはネットによる注文だ。総務省の調査では2人以上の世帯でネットを利用した出前の支出額はこの1年で2倍近く増えた。自宅でゆっくり食事をしたい子育て世代などのニーズが背景にあるとみられる。
ネット出前サイトの加盟店が1万6000店舗を突破
「2020年に出前市場のシェア20%を目指す」――。ネットによる出前サイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会はこんな強気な目標を掲げている。
同社のビジネスモデルは、出前館のサイトを訪れた利用者の注文内容を加盟店に伝え、成功報酬を得るというもの。配達は各店舗で行う。さまざまな店舗が掲載されているので、利用者にとっては比較できる点などが支持されている。加盟店は1万6000店舗を突破した(18年1月末時点)。
出前館では2月16日から18日にかけてピザや寿司などの半額セールを予定していて、参加店舗は3060店舗と過去最高を記録した。これは宅配に寄せる飲食業界の期待の高さを裏付けるものだろう。
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