企業は「クラウドファンディング」をどう活用するべきか:有識者が解説(1/3 ページ)
急激に市場規模が拡大しているクラウドファンディング――。新しい資金調達の手段として注目されているが、企業はこの新しいツールとどのように向き合っていけば良いのだろうか。
特集「テクノロジーが変える「資金調達」のカタチ」:
財務部門の大きな役割の1つが資金調達だ。これまでは、銀行からの融資(デットファイナンス)や、株式によるマーケットからの調達(エクイティファイナンス)が当たり前だったが、近年はクラウドファンディングや仮想通貨を使用した資金調達など、新たな手段が注目されている。
こうした既存の手法に頼らない資金調達を成功させるためには、何が必要なのか。成功企業やサービス提供者に話を聞く。
つい数年前までは書店を巡っても、関連の書籍が1冊も見当たらなかった「クラウドファンディング」ですが、今ではその言葉は急速に浸透し、各書店には当たり前のように専用のブースが設置されるほど、世間に知れ渡ることとなりました。個人だけではなく、企業が活用するケースも増えてきています。
世界の市場規模は急拡大しており、世界銀行は、2014年には約4兆円だったものが、2025年には約10〜11.5兆円を超えると予想。同じように、国内でもその規模は着実に拡大しています。クラウドファンディング事業を展開するCAMPFIREの調査によると、16年の1年間で、過去4年間の支援金額の合計を上回っています。
クラウドファンディングの魅力
クラウドファンディングは、大きく分けると下記の3種類になります。
- 購入型(支援者へ物品などを提供)
- 寄付型(基本的に支援者への見返りはない)
- 金融型(配当金や利子、株式を提供)
この中でも一般的によく話題になるのが、「購入型」のクラウドファンディングですので、今回はこちらについて主に解説していきます。
購入型クラウドファンディングではまず、企画案、目標金額をクラウドファンディングの運営会社に投稿。審査に通ると、その企画がサイトに掲載されます。そのサイトを見て共感した人々がお金を支援し、期間内に目標金額が集まれば起案者はその金額を手にすることができます。支援した人には、リターンと呼ばれる返礼品が送られます。
これら全てが「無料」でできるという「ノーリスク、ハイリターン」が、クラウドファンディングの魅力です。
クラウドファンディングによって多くの資金を集めることができ、今までは資金が足りなくて製作できなかったような「新たな商品」が、どんどん生み出されていくようになりました。
最近の成功事例でいうと、クラウドファンディングのMakuakeで公開された電動バイクの「glafitバイク」。こちらは過去最高額の1億718万円の調達に成功しました。
glafitバイクは、自転車・バイクの両方を掛け合わせたアシスト走行に加え、折りたたみ機能や指紋認証を搭載。自転車・バイク関連の製造に15年以上取り組んできた和歌山県のチームが結成して創作し、今までにない新しいアイデア(商品)を世に送り出すこととなりました。
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