ハンバーガーチェーンで「ちょい飲み」が増えている理由:誰が飲んでいるのか?(2/2 ページ)
ちょい飲み客を獲得するために外食各社は知恵を絞っているが、ついにハンバーガーチェーンでも同様の動きが出てきた。その背景にあるのは?
モスバーガーもアルコールを提供
モスバーガーでは17年6月から「モスバル」というちょい飲みサービスを始めた。午前10時30分から缶ビールを提供する。ハンバーガーとポテトのセットにプラス140円でビールに変更できる。午後3時からはチリポテトやグリルドソーセージといったおつまみを290円で提供する。全店舗数の1割強にあたる173店でモスバルを導入している。
モスバーガーを運営するモスフードサービスの広報担当者によると、もともと実験的に数店舗でアルコールを販売していたが、利用者の多様なニーズに応えるために本格的にサービスを開始したという。店舗立地や客層によってはアルコールのニーズがあると判断したためだ。平日は30〜40代の女性会社員、休日は家族連れで来店した父親が1杯飲むというパターンが多い。「現時点では業績に影響を与えるほどの売り上げはないが、顧客の認知が高まってきたらサービス拡大も検討している」(広報担当者)という。
モスバーガーは女性の利用客が多い。ファーストキッチンと同様、仕事帰りに1人で軽く飲みたいというニーズを満たしているようだ。
フレッシュネスバーガーは15年1月から「FRESHNESS BAR(フレバル)」というちょい飲みサービスを試験的に開始した。午後4時以降に300〜500円代のおつまみを中心に提供する。現在では全168店のうち50店弱に導入している。主に、20〜30代の女性会社員や30〜50代の男性会社員が利用している。フレッシュネスの広報担当者は「フレバル導入により、新しいお客様が増えた。売り上げが好調に推移しているので、今後も拡大する予定だ」と説明する。
これまで紹介した3社に共通するのは、ちょい飲みが20〜40代の働く女性に支持されていることだ。女性1人では吉野家や日高屋に入りにくいが、ハンバーガー店なら安心して飲めるということだろう。ハンバーガーチェーンは1人でちょい飲みしたい女性の需要を掘り起こしたといえそうだ。
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