ウーバーの無店舗型飲食店支援が持つ破壊力:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
配車サービス大手のウーバーが、無店舗型飲食店の支援に乗り出す。既に飲食店の宅配サービス支援「ウーバーイーツ」を提供しているが、今後は店舗を持たない飲食店の増加が予想されることから、その事業を支援することで供給力を高めたい考えだ。
配車サービス大手の米Uber Technologies(ウーバー)が、無店舗型飲食店の支援に乗り出す。同社は飲食店の宅配サービスを支援する「UberEATS(ウーバーイーツ)」というサービスを提供しているが、今後は宅配市場の急拡大によって店舗を持たない飲食店の増加が予想されることから、その事業を支援することで供給力を一気に高める戦略と考えられる。
米国は好景気だがレストランの売上高が減少
ウーバーが検討しているのは、厨房設備などの貸し出しサービスで、経営体力のない事業者でも宅配に特化した飲食店を容易にスタートできるようにするという。
ウーバーイーツは、アプリを使って飲食店から料理の配送を請け負う事業で、スタートから2年が経過したが、急激に利用者数を伸ばしている。
国内の事業者も動き出している。楽天も同様のサービスである「楽びん!」を提供しているほか、以前から宅配サービス「出前館」を運営してきた夢の街創造委員会は2017年に、吉野家と提携。外食チェーン店の宅配を本格的にスタートさせた。
スマホの普及と社会のシェアリング化は、外食産業に質的な変化をもたらそうとしている。消費者が高度なデバイスを持ち歩くようになると、仕事の進め方はよりパーソナルな方向にシフトする。もともと欧米企業は、個人ベースで仕事をする傾向が強く、日本のように大所帯でお互いの顔を見ながらというスタイルではなかった。
だがスマホの普及は、仕事をさらにパーソナル化する作用をもたらしており、昼食時に連れ立ってランチに行く光景が目に見えて減っているという。実際、ニューヨークなどの都市部ではレストランの売上高が減少する一方、ウーバーイーツなどを使って好きな時間に好きなランチを取る人が増えている。
こうした動きを受けて、ニューヨークでは店舗物件の不動産賃料が下落に転じているという。
米国は好景気のただ中であり、ニューヨークをはじめ、全国の不動産価格が高騰している現状を考えると、これは異常事態といってよい。商業物件の賃料下落は、ネット通販の台頭で小売店の需要が減少したことも影響しているが、これらは相互に関係している。ネット化の進展が、ビジネスのあり方に根本的な変化をもたらしていると考えるべきだろう。
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