PayPayは10回買っても全額還元される確率は65% 確率のワナに注意:ガチャのときを思い出そう
20%還元だけでなく、10回に1回、20回に1回、40回に1回といった確率で、全額還元されるというのがPayPayの面白さ。この確率アップを狙ってYahoo!プレミアムに加入したり、Y!mobile契約を検討したりする人もいるだろう。しかし、思うような確率で全額還元されるとは限らないことには注意。
「100億円あげちゃう」とうたうスマホ決済サービス「PayPay」が話題だ。購入金額の20%還元も魅力的だが、条件を満たすと「10回に1回の確率で全額戻ってくる」という全額還元にドキドキする人も多いだろう。
しかし、「10回に1回の確率」で全額戻ってくるといっても、「10回買えば1回は全額戻ってくる」わけではないことには注意が必要だ。実は、10回買っても1回以上全額戻ってくる確率は65%に過ぎない。
1回の購入で当たる確率は10%、逆に外れる確率は90%。10回続けて外れる確率は90%✕90%✕90%……つまり1−(1−当選確率)の回数乗が、1回でも当たる確率になる。
実際に計算してみると、ソフトバンク・Y!mobile契約者で10回に1回の確率で戻ってくる場合、10回買い物をしたときに1回以上アタリとなる確率は65.1%。20回買い物をしても87.8%だ。1回以上アタリを得る確率を99%以上にするには44回の買い物が必要になる。
Yahoo!プレミアム会員で20回に1回の確率で戻ってくる場合は、さらに条件が厳しくなる。10回の買い物でアタリが出る可能性は40.1%、20回では64.1%。99%以上の確率でアタリを引くには90回の買い物が必要だ。
通常の40回に1回の確率で全額戻ってくる場合はどうだろうか。10回でアタリをひく確率は22.3%、20回では39.7%。99%以上の確率となるのは182回となる。
これは、ソーシャルゲームの「ガチャ」で、100回に1回の確率で超レアなカードが出るとされているのに、実際にそのカードを引くには100回では足りないことが多いということから話題になったのと同じ理屈だ。毎回の試行ごとに一定の確率でアタリとハズレが決まる場合の確率分布は二項分布と呼ばれる。ただし、何回も買っているのになかなか当たらない人がいる一方で、数回の買い物で当たる人や、何回もアタリを引く人もいる。「期待値」という意味では、確かに10回に1回であり、多くの買い物をすれば実際に得られる還元額は全体の10%に近づいていく。
ガチャのように、「せっかくなので全額還元されるまでは何か買わなくては」とならないように気をつけたい。
関連記事
- スマホ決済PayPay、総額100億円の“ばらまき企画”開催 還元率「20%」で爆発的普及目指す
スマホ決済サービス「PayPay」は、ユーザー向けに、100億円規模の還元策を展開する。買い物をした顧客に支払い額の20%を還元する特典などが含まれる。爆発的にユーザーを拡大する狙い。 - QRコード決済の普及に向けた課題とは?
世界に比べて遅れている日本のキャッシュレス決済。その普及に向けて切り札として期待されているのがQRコード決済だ。しかし、そこには課題も数多い。決済関連に詳しいカンムの八巻渉社長による寄稿をお届けする。 - 「支払いは現金で」派、多いのは20代 キャッシュレス決済調査
調査会社マクロミルの調査で、20代男女は支払いでは「現金派」が多いことが分かった。 - 日本のキャッシュレス化を考える
17年5月に日本政府は「キャッシュレス決済比率」を民間消費支出に占めるクレジットカード、デビットカード、電子マネーによる決済の割合と定義。今後10年間にキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指すという。日本のキャッシュレス化の進展状況と今後の課題について整理したい。 - キャッシュレス派は貯蓄上手 平均貯蓄額「87.6万円」
キャッシュレス派の方が現金派より貯蓄上手――JCBが実施したキャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査でこんな結果が出た。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.