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上位モデル食い?侮れない一眼レフ入門機、ニコン「D3300」(1/4 ページ)

» 2014年03月03日 20時08分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 小さくて軽くて丸っこくてエントリーユーザーがターゲットの安くてシンプルで親切な一眼レフがこれ。ニコンの一眼レフの中で一番の下っ端、というと聞こえが良くないけれど、一番安くて軽いモデルとなる「D3300」だ。

photo 丸っこくて小ぶりなニコン「D3300」。レンズもコンパクトになってボディに似合っている

 これなら気軽な一眼レフとしてすごくいいかも、という気がしてきた。

 確かに操作系は簡略化されてるし、電子ダイヤルはひとつしかない。ファインダーや液晶モニタのクオリティも高くない。そこは上位モデルに比べると劣るのだけど、グリップしやすいし軽いから気軽にさっと手にできるし、シャッターも軽くてミラーショックもあまり大きくないし、質感もなかなかいいのだ。

 どうも、ボディに「炭素繊維を用いた新素材」によるモノコック構造が効いているらしい。だから軽い割に剛性感がある。ちょっと侮れないかも。

小型軽量のエントリー機だが使い勝手はなかなかいい

 D3300の面白さは、エントリー向けならではの小型軽量でシンプルなボディでありながら、中味は上位モデルのD5300と同等という点にある。

 まずはボディの話から。

 一眼レフという構造上、奥行きがあって分厚いのは仕方ないが、幅は124ミリ、高さは98ミリとかなり小さい。とはいえ、D5300とほぼ同じサイズだ。違うのは重さ。本体(バッテリーとメモリーカードを含む)の重さは約460グラムと500グラムを切っている。D5300が約530グラム、ちなみにキヤノンのEOS Kiss X70は約480グラム。ミラーレス機に比べると重いが、ボディが大きい分軽く感じる。

photophoto 小ぶりだが握りやすいボディのD3300。キットレンズは従来より一回り細くて、沈胴式な分、短くてコンパクト。ボタンを押しながらズームリングを回すとレンズが出てくる

photo 正面から。グリップ上部が少し内側にカーブしていて全体に丸みを与えている

 面白いのがキットレンズ。一眼レフでははじめて(じゃないかと思う)沈胴式機構を採用したキットレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f3.5-5.6G VR II」を採用している。18-55mm/F3.5-5.6と従来のキットレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f3.5-5.6G VR」と同じ焦点距離/開放F値ながら沈胴時の長さは59.5ミリと2センチ短くなり、さらに鏡胴が細くなった。だからD3300のボディとのバランスがいい。

photo レンズを沈胴させたまま電源を入れるとこんな風に注意されます

 そのかわり、撮影時はボタンを押しながらズームリングを回して、レンズを繰り出さなくてはならない。面倒といえば面倒だが、どうせ撮影するときは左手をレンズに添えるのだし、連続して撮影するときはレンズを繰り出したままにしておくことになる。バッグから出している時にレンズは繰り出しっぱなしでいいかなと考えれば、さほどストレスではない感じだ。

 ファインダーはエントリーモデルらしく、ファインダー倍率は0.85倍で視野率は約95%。上位モデルに比べると小さめで見やすくないのは仕方ないところか。AF測拠点が赤く光るのだが、晴天下だとそれが分かりにくいのが難点といえば難点だ。

 ボディは小さいがグリップはしっかり飛び出ており、シャッターボタンへのかかりぐあいもいい。シャッターボタン周りに電源スイッチがあり、すぐオン/オフできるのはいいところ。

photophoto 側面から。マウント部横のFnボタンはカスタマイズ可能で、デフォルトはISO感度。フラッシュボタンは押しながらダイヤルを回すと発光量調節になる。記録メディアはSDメモリーカード
photo

 電子ダイヤルは背面にひとつだけ。露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回せば露出補正がかかるのは上位モデルと一緒。マウント部の左側にFnボタンがあり、それがISO感度に割り当てられているので、押しながら回すとISO感度変更と最低限の変更はさっとできる。

 それ以外は「info」画面でiボタンを押して設定する。info画面にない項目を設定するにはMENUキーを押す。ちょっと細かいことをセットしたいときは液晶画面を見ながら十字キーというところがエントリー向けならでは。

 面白いのはそのinfo画面。シャッタースピードと絞り値とISO感度が円で図示されていて、それらの関係がすごく分かりやすくていい特に絞り値は値によって絞りの様子が変化するのがたまらん。

photophoto 露出を決めるシャッタースピード・絞り・ISO感度の3つがビジュアル化されているのでとても分かりやすい
photo 画面表示は数字を大きく表示するクラシックデザインも選べる

ならでは、便利な「GUIDE」モード

 撮影モードダイヤルを見ると目立つのが「GUIDE」(ガイド)モード。これはエントリーモデルならではのもので、一眼レフはちょっとハードルが高いと思っている人にお勧めの撮影モード。

 様々な目的に応じて撮り方や設定やコツのガイドが用意されているので、その場でそれを見ながら撮ればいいのだ。

photo ガイドモードの画面。撮る・見る・編集・設定の4つについて教えてくれつつ、ここから実際の作業にも入れる
photophoto テクニックを使って撮る、の場合シチュエーション別にあれこれ教えてくれる(写真=左)、慣れないと何かと難しそうな各種設定もガイドモードから入ればなんとなくとっつきやすい

 撮影なら、「場面に合わせて撮る」「テクニックを使って撮る」の2種類から最適なセッティングで撮影するところまで教えてくれるし、環境設定もここから行える。

photo 上部から。撮影モードダイヤルにGUIDEポジションがあるのがエントリー向けならでは。AUTOと発光禁止オートが全自動モードだと思えばよい。ダイヤルは背面にひとつ。露出補正ボタンの位置が押しやすく、慣れれば瞬時に露出補正できる

 撮影モードダイヤルには多くのモードが用意されているが、フルオートはちょっと勧めづらい。やたらとフラッシュを光らせたがるのだ。ちょっと逆光気味だと、被写体が遠かろうが近かろうがすぐ勝手にポップアップして光るのはなんだかなと。オートのすぐ隣にある発光禁止モードは、「発光禁止オート」なので、あまり光らせたくない人は、発光禁止オートをメインに使うとよい。

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