e-Day:サスペンス映画「アンチトラスト」
| 【国内記事】 | 2001.06.04 |
久々にカリフォルニア州サンフランシスコに来ている。まもなくモスコーニセンターで開幕するJavaデベロッパーの祭典,JavaOneを取材するためだ。
ダウンタウンは風が冷たいものの,日差しが強く,カラリとしてちょうど心地がいい。JavaOneに参加するデベロッパーは,みんなレジストレーションでもらった「JavaOne」ロゴ入りのデイパックを手にしてるので,すぐに分かる。これで6回を数える今年も2万人を超えるJavaデベロッパーがこの街にやってきた。
東京からの飛行機の中で,マイクロソフトやビル・ゲイツがモデルになったという映画「アンチトラスト」(2000年,米国)を観た。そのまんまのタイトルだが,法廷ものではなく,ソフトウェア開発の内幕を描いたサスペンスに近い。
ワシントン州レドモンドのマイクロソフトと同じように,映画の中のソフトウェア帝国「N.U.R.V」(ナーブ)も広大にキャンパスをオハイオ州ポートランドに擁する。ビル・ゲイツがモデルという巨大ソフトウェア会社の社長は,デジタルメディアでも帝国を築こうと,「シナプス」と呼ばれる革新的な技術の開発を陣頭で指揮する。
実際のアンチトラスト訴訟は,WebブラウザはOSの一部なのか,あるいは不正な抱き合わせ販売にあたるのかを争っているのだが,映画は違う。むしろ1995年前半,Windows 95のリリースに先立ってマイクロソフトは,The Microsoft Network(MSN)の強化策を打ち出しており,これに危機感を抱いたAOLのスティーブ・ケースCEOらがマイクロソフトのやり方に噛みついたことを下敷きにしているようだ。
映画の方は,プログラマーとしてナーブ帝国に引き抜かれた主人公マイロは,あこがれの社長の下でシナプスの開発に取り組むが,社長らが世界中の優秀なプログラマーを監視し,彼らが書いたコードを盗用しているのではないか疑いを抱き始める,といったストーリーだ。
監督は映画を製作するにあたってIT業界を徹底的にリサーチしたというが,JavaのTシャツを着ている社員がいたり,入社時にマイロが支給されたPDAがPalmデバイスだったりと,細部の詰めが甘かったりするが,あまり重箱の隅を突っつくのも酷だろう。
ゲイツもそこまではしないだろうと思うくらいワルに描いているのも少しばかり気になる。何しろ,コードを盗用しては片っ端から開発者たちの殺害を手下に指示している。まるでマフィアのボスみたいだけど,映画だから……。ナーブの社長を演じるティム・ロビンスが,ビル・ゲイツの話し振りや仕草を真似ているのも面白い。
オープンの勝利
1995年の暮れ,マイクロソフトはJavaをライセンスする考えを電撃的に発表した。その発表からほどなく来日したサン・マイクロシステムズの幹部,ジョン・ゲイジは,「近くマイクロソフトと(ライセンスの詳細を詰める)交渉に入るが,彼らとのやり取りはテープですべてを記録しなければならない」と不信感を隠さなかった。
マイクロソフトとの交渉を終えたサンのジョン・ゲイジは,1996年から始まったJavaOneカンファレンスのホスト役を第1回からずっと務めている。彼は,サンがまだ設立されて間もない創生期にビル・ジョイ氏から誘われて入社しており,社員番号は何と20番台の超ベテラン。全米の小中学校にインターネット環境を普及させようというボランティア活動「NetDay」の提唱者としても知られている。
そのジョン・ゲイジが心配したとおり,マイクロソフトは互換性のないJavaインプリメンテーションを出荷し,サンは早くも1997年には訴訟を起こしている。
今年1月,5年ぶりにJavaをマイクロソフトから取り戻す和解を勝ち取った彼は,昨晩のJavaOneプレスレセプションに姿を見せ,オープンスタンダードの勝利を強調した。
「iモード端末は2000台を突破し,LinuxとJavaを走らせることができるPlayStation 2が,2002年3月末には3000万台に達する。コンピューティングにとっては大きなインパクトだ」(ゲイジ)
ジョン・ゲイジは,JavaOneのステージでシャープのZaurusを紹介することも明かした。Zaurusは秋をめどに,海外市場ではLinux + PersonalJavaのオープンなPDAに生まれ変わることになっている。
シャープでモーバイルシステム事業部長を務める宇野裕史氏は,「来春までに1万本のJavaアプリケーションをそろえたい」とし,その多くは欧米のJavaデベロッパーに期待している。JavaOneカンファレンスでは,大々的にLinux + Javaの海外版Zaurusを売り込むという。
[浅井英二 ,ITmedia]
