e-Day:有楽町で逢いましょう

【国内記事】 2001.06.15

 今週,東京・有楽町にビックカメラがオープンした。経営再建のために閉鎖に追い込まれた有楽町そごうのビルが,久しぶりにごった返している。魅力的な品ぞろえよりも,立地を優先したそごうらしく,JR有楽町駅の真ん前だ。「有楽町で逢いましょう」(フランク永井)の世代ではないので,さしたる感慨もないが,こんなところに大手量販店,しかもパソコン館(ビックピーカンと呼ぶらしい)が進出するとは驚きだ。

 オープン初日は入場制限が行われ,開店前から長蛇の列が出来た。お昼すぎになると最後尾は東京フォーラムの反対側まで伸び,再び折り返していた。あいにくの雨だったのにこれだから,晴れていたら収拾がつかなかったに違いない。

 デフレスパイラルに苦しむニッポンだが,きっかけがあれば財布の紐は緩むということだ。

 当てはなかったのだが,何を隠そう私も雨の中を長蛇の列に並び,オープン初日のピーカンを覗いた。最近,秋葉原に行っても裏通りの激安店をめぐることが多いので,久々にディスプレイに凝った売り場を歩いた。

 個人的にはノートブックPCしか使わないので,デスクトップPC,特にコンシューマー向け製品をじっくりと眺めたのは久しぶりだった。

 それで気が付いたのが,国産メーカーのデスクトップPCがどれをとっても魅力的なデジタル家電に仕上がっているということ。これはちょっとした驚きだ。国産メーカーの夏モデルに見る幾つかの潮流を紹介しよう。

 NEC,富士通という両雄の夏モデルに共通しているのが,ワイド画面の液晶ディスプレイをラインアップしていること。両社とも,エントリーモデルを除き,ほぼすべてのモデルでDVD-ROM(とCD-R/RW)を搭載しており,DVDタイトルを迫力いっぱいに楽しめるようにしている。「デスクトップシアター」(DTT)とでも名付けたらいいだろうか。

 NECではVALUESTAR TシリーズすべてにTVチューナーを搭載し,赤外線リモコンも標準で付けている。富士通もすべてのシリーズに幅広くTV機能搭載モデルを設定している。

 ワイド画面ではないものの,液晶が自慢のシャープや日立製作所は以前からTV機能を搭載したモデルを出荷していた。パソコンならではという豊富な再生機能の呼び方もこの両社は「タイムシフト」と共通している。ハードディスクに録画していくことで,一時停止や巻き戻しができるほか,早送りでリアルタイムの放送に追いつくこともできる。

 面白いところでは,DVD-RAMを利用したカムコーダーを商品化している日立が,4.7GバイトのDVD-RAMドライブをスリムなきょう体に内蔵してしまった。S-VHS並みの画質では1時間当たり4Gバイト近く消費するデジタル録画では,たとえ60GバイトのHDDを搭載していても,ほっておけばあっと言う間に使い尽くされてしまう。DVD-RAMがあれば,お気に入りは保存しておくことができるだろう。

 NECがBIGLOBEを,富士通は@niftyをそれぞれ利用することで,外出先からも録画予約をできる機能をアピールする。これもインターネット接続されているパソコンならではの差別化ポイントだ。

 インターネットといえば,富士通と日立がほとんどすべてのモデルにLANインタフェースを標準搭載している。富士通はその呼び名も「ブロードバンドポート」とふるっている。これならケーブルモデムやADSLモデムにそのまま対応できる。

 NECも,パソコンの設置場所に柔軟さをもたらすAtermのワイヤレスLANセットを前面に出し,家族が思い思いにブロードバンドを楽しむスタイルを提案している。BIGLOBEでは月額100円でビデオ作品を公開できる「My放送局」サービスを提供しており,NECはブロードバンドを生かす使い方として紹介する。自社で巨大なプロバイダーを運営する国産メーカーの強みだ。

 えっ,ソニーについて触れてないって? 別にVAIOが嫌いなわけじゃないけど目立たなかったなぁ……。

[浅井英二 ,ITmedia]