e-Day:マイクロソフトのルーツはBASIC

【国内記事】 2001.06.20

 ロータスのアル・ゾラーCEOがマイクロソフトに噛みついた。

 ネバダ州ラスベガスのミラージュホテルで行われている「Lotus DevCon 2001」カンファレンスでのことだ。初日のゼネラルセッションに登場したゾラーは,そのスピーチをジョークで始めた。

「今週はマイクロソフトもアトランタでTech・Ed 2001カンファレンスを行っているが,(時差の関係で)たった3時間にすぎないが,どうしてもわれわれに先んじたかったらしい」(ゾラー)

 だが,話がExchange Serverに及ぶと,「今度はYukon(次期SQL Serverコードネーム)を持ち出した。彼らはExchangeのストレージモデルをくるくると変えている。Exchangeに未来はない。あるのは“D・E・A・D”だ」と,珍しく強い口調でマイクロソフトを攻撃した。

 オラクルの帝王,ラリー・エリソンであれば,聴衆は大喜びして喝采するところだが,人の良さそうなゾラーの場合は,「一体何があったのだろう?」と首を傾げてしまう。

 しかし,いずれにせよアトランタのビル・ゲイツ会長は,そんなことお構いなしだ。

 米国時間の6月19日,ジョージア・ワールド・カンファレンス・センターに現われたゲイツは基調講演の中で,「Visual Basic」の10周年を祝ったという。同社の礎を築いたMicrosoft BASICの流れを汲むこの開発ツールは1991年に登場して以来,800万人が使っているといわれる。まさに開発ツールの怪物だ。

 今から20年前のパソコンユーザーにとっては,高級言語といえばマイクロソフトのBASICだった。最初のパソコンとして1970年代後半に登場したAltairはもちろん,国民機「98」のルーツでもあるNEC PC-8001にもゲイツとポール・アレンがつくったBASICが標準搭載され,多くのアプリケーションが書かれた。

 そもそもBASICは,インタプリタ言語として開発され,いちいちコンパイルする必要がないのが受けた。PC-8001は,スイッチを入れるとマイクロソフトからライセンスされたBASICが起動し,BASICの命令をキーボードから叩けば,パソコンとの対話が成立した。この対話型ですぐに結果が得られることから,パソコンを学ぶのにも適していた。何を隠そう私も20年前,8ビットのPC-8001で幾つかのアプリケーションを書き,パソコンを楽しんだ。

 今回のTech・Edではゲイツが,「私がほとんどのコードを書いたと言うことができる最後のマイクロソフト製品だ」と話し,四半世紀前を振り返る場面があったという。

 それだけにBASICに対するゲイツの思い入れは特別だという。Visual Basicの開発チームには特に優れたタレントが集められているともいわれた。今でこそハッカーのターゲットにされて鬼っ子扱いだが,Visual BasicをベースとするVB Scriptには,オフィススイートの共通スクリプト言語としての地位も与えられている。

 そのVisual Basicが10年周年を迎え,開発者がこれまでのスキルを生かしてWebサービスを開発できる「Visual Basic.NET」へと進化する。

 基調講演のステージでは,かつてゲイツがIBM PCのプロトタイプマシン上で書いた「Donkey.bas」という,今からすれば他愛もないロバのゲームを.NETアプリケーションに変換してデモするなど,多くの時間をVisual Basicのために割いている。

 ゲイツは,当時IBMは「IBM PCのプロトタイプでの開発は,カギの付いた部屋でなければいけない」と言ってきたらしく,彼らは唯一カギの付いていたクローゼットでの開発を余儀なくされたという。

「朝の4時までプログラミングしていた。しかも,クローゼットはいつも38度以上の暑さだった」(ゲイツ)

 Exchangeのストレージモデルはなかなか落ち着かないが,マイクロソフトのルーツはBASIC,というのは一貫している。

[浅井英二 ,ITmedia]