Interview:SAPとの協業をさらに強めるBMC
| 【国内記事】 | 2001.07.18 |
かつてのSAPの世界は,R/3で完結していた。しかし現在のmySAPプラットフォームを見てみると,さまざまなアプリケーションがR/3で蓄積したデータを基盤として常時稼動している姿が浮かび上がってくる。
具体的には,SCMソフトウェア「SAP APO」や,CRMソフトウェア「SAP CRM」,そしてEIP(企業情報ポータル)構築ソフトウェアであるSAPポータルズの「mySAP ワークプレイス」など,さまざまなソフトウェアで構成されている。そして多くのSAPユーザーは,R/3を取り巻くソフトウェアとして,ほかのソリューションベンダーの製品も組み合わせて利用している。
システムにリアルタイムの接続性が求められている現在,こうした異種システム混在環境でも,常時稼動を前提として管理しなければならない。
BMCソフトウェアは,複雑なシステム環境を少しでも常時稼動へと近づけることに挑戦している。同社は,2000年5月にSAP R/3用のパフォーマンス管理ソフトウェアを開発するイスラエル企業,オプティシステムズを約7000万ドルで買収。ERP向けの高度なシステム管理ソリューションを提供するために「ERPビジネスユニット」と呼ばれる事業部を立ち上げた。
BMCは,アプリケーションのアベイラビリティ,パフォーマンス,そしてリカバリーを保証する「e-vailability」を提唱する企業で,アプリケーションのモニタリング製品として「PATROL」を提供している。PATROLにラインアップされているSAP R/3向けのPATROL for R/3は,SAPの開発言語であるABAPで書かれたアプリケーションで,R/3とシームレスに連携して利用できる。
今後,mySAPプラットフォームがどれだけ拡大しても,基盤となるシステムがR/3であることから,BMCもPATROL for R/3を基盤としてソリューションを拡大していけば対応できる。また,SAP以外のシステムと連携させてプラットフォームを拡大する企業向けに,PATROL for Siebel/Ariba/Commerce One/BroadVision/Vignetteなどのソフトウェアも用意している。さらに,外部からエージェントを使ってパフォーマンスをモニタリングする「SiteAngel」も組み合わせて利用すると,パートナー企業に開放したシステムに問題がないかどうかを知ることも期待できる。
同社では,PATROLをmySAPプラットフォームへと拡張する方向で,ドイツのバルドーに「CESAP(Centrer of Excellence)センター」ラボを置いて研究開発を続けているという。
7月中旬,同社のアジアとヨーロッパのマーケティング&ビジネスデベロップメントディレクター,オーレン・ギル・オア氏に,同社のSAP戦略とPATROL for R/3について話を聞いた。
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| オーレン・ギル・オア氏 |
eWEEK PATROL for R/3 Suiteは,「PATROL for R/3」「PATROL for R/3-Manager」「PATROL for R/3-Database Maintain」「PATROL for R/3- S.L. Reporter」の4つのソフトウェアで構成されていますね。まず,それぞれの機能を紹介してください。
ギル・オア システムに問題が発生した場合,まず現場のオペレーターがそれを把握しなければなりません。そこで登場するのがPATROL for R/3で,問題があることをとりあえず教えてくれます。次に,PATROL for R/3- S.L. Reporterが,管理者向けにシステムのレスポンスタイムなどの統計的なデータを提供します。
ここまでがモニタリングの世界です。次に対処しなければならないのが,問題をベースとしたネットワークのハンドリングです。PATROL for R/3-Managerと,初めに出てきたPATROL for R/3が連携し,これを実現します。これらのソフトウェアが,キューが詰まったら自動的にリリースしてくれたり,デッドロックを開放してくれたりします。
最後のPATROL for R/3-Database Maintainは,もっと深い部分であるデータベースの抱える問題に対処します。単に警告するだけでなく問題の原因を教えてくれるのです。また,「このペースでデータが増え続けたら○○日後にパンクする」という情報をハンドリングするのもこのソフトウェアです。
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| PATROL for R/3 Suiteの画面。R/3と同じルック&フィールで利用できる |
eWEEK SAPは,システムの管理および制御,監視,チューニングのためのツールとして,「CCMS」(Computing Center Management System )を提供していますが,これに対するPATROL for R/3の優位性はどこにあるのでしょう?
ギル・オア ガートナーグループ(現:ガートナー)が2月19日に発表したレポートでは,CCMSのレポーティング機能とデータ集積機能に課題があるとされています。また,SAP製品ですので,SAPの世界だけしか管理できません。
これに対してわれわれは外部のベンダーですから,R/3と連携させて利用するさまざまなアプリケーションも同時に管理することができます。それだけではありません。ABAPで書いているため,SAPの管理者は共通のルック&フィールで使えるため,違和感を感じさせませんしトレーニングコストも不要です。
また,われわれの製品はCCMSと連携させることもできるのです。完全にR/3に組み込んだ結果,独自のテストでは,システムのオーバーヘッドをわずか1%以下に抑えることができました。データをCCMSから直接取り込んで利用できることと,CCMSでは機能が不足している領域をカバーできることが,われわれのソリューションの威力です。
eWEEK SAPは,トップティア・ソフトウェアを買収し,「iView」技術を獲得しました。この技術でSAPは,同社のEIP(企業情報ポータル)にログインするユーザーに対して,彼らが必要とする情報およびアプリケーションにアクセスしやすくするエージェント機能を提供します。こうした分野をどう考えていますか?
ギル・オア ご存じだと思いますが,トップティアは現在SAPポータルズというSAPの子会社になりました。SAPポータルズはさまざまなベンダーと提携を進め,分散アーキテクチャに対応しようとしていますが,それはアプリケーションの連携を強化しようという試みです。
これに対して,われわれの管理対象は,ネットワークトラフィックです。突然システムが止まってしまわないように,例えばアクセスが集中したときに自動的にネットワークリソースを開放するためのソリューションを提供します。エージェントであることは同じですが,その管理対象が異なります。今後もこの分野にフォーカスします。
eWEEK 現在,SAPとの協業を進めているそうですが,今後提携などの具体的な動きは出てくるのでしょうか?
ギル・オア SAPとは現在でも深い繋がりを持っていますが,その方向で話し合いを続けています。米国でSAPが開催する「THE NEW,NEW ECONOMY TOUR」というイベントがあります。これは,トラックで全米を回って,SAPのe-ビジネスソリューションを紹介するものなのですが,これに参加しているSAPのパートナーは,IBMとわれわれだけです。これだけを取っても,SAPとBMCが強い協業関係にあるのを分かってもらえるでしょう。
eWEEK ただ,BMCはSAPのライバル向けにもPATROL製品を出荷していますね。正直なところ,SAPは嫌がりませんか?
ギル・オア われわれは,常にオープンなスタンスを取っており,1つのベンダーだけにフォーカスして製品を出荷することはありません。買収したオプティシステムがSAP用の監視ソリューションを提供していましたので,現在SAP向けの製品が最も高品質ですが,全世界の4000社を超える顧客の声に応えることがわれわれの役割です。
SAPも大企業ですが,われわれも十分に大企業です。対等な関係で協業を強化していきます。
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[井津元由比古 ,ITmedia]


