e-Day:Windows XPとリユースPC
| 【国内記事】 | 2001.09.21 |
出荷の準備が着々と整ってきたWindows XPは,マイクロソフトがWindows 95をリリースして以来,長年取り組んできたデスクトップOSの一本化を図るものだ。遅ればせながら,フル32ビットへの完全な移行も果たすことになる。
Windows XPは,もうとっくに綻びの見えていたWindows 9xのコードを捨て去り,Windows 2000をベースとした堅牢なデスクトップOSに生まれ変わる。ワイヤレスLANへの対応をはじめとするネットワーク機能の強化や一新されたユーザーインタフェースも,Windows 9xからの進化というよりは,決別を感じさせる。
Windows 3.0でGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)とバグの多さに驚かされ,Windows 95ではインターネットのパワーを教えられた。一気にユーザーのすそ野が広がったWindows 98ではハードウェアの簡素化が進んだものの,相変わらずビギナーにとってPCは難しいものだという限界も知らされた。
しかし,この10年を振り返ってみると,Windowsは着実に進化したなぁと思う。絶えずバージョンアップを繰り返しながら市場に対する支配力を強めたマイクロソフトには多くの批判はあるが……。
マイクロソフトがWindows XPのプレイベントと位置付けるWorld PC Expoが幕張メッセで新しいOSを大々的にプレビューする中,都内の大塚商会本社では,ささやかだがリユースPCの寄贈式が行われた。
大塚商会,マイクロソフト,およびアイ・オー・データ機器の3社が6月に福祉・教育施設などのボランティア団体(NPO)への支援を発表していたもので,第一弾としてこの日,23団体に合計86台のリユースPCが寄贈された。
「Future Community Support」と名付けられた3社のリユースPC寄贈・支援プログラムは,大塚商会が三宅島の災害をきっかけに,社内で使用したノートブックPCの有効活用を検討したのが始まり。しかし,1社のディーラーでは限界があることが分かり,マイクロソフトやアイ・オー・データ機器に話を持ちかけたという。Windowsのライセンスが第3者への譲渡を認めていないことや,メモリが現行のWindowsを快適に利用するには不足していることなどがあったからだ。
また,プログラムの推進役として,新しいNPOとしてイーパーツも発足させた。イーパーツの代表は,ボランティア活動で実績のある会田和弘氏が務める。この日は寄贈式のあとに会田氏を中心に懇親会も行われた。
「これまで別々に福祉や教育の活動を行ってきたNPO同士が交流する場が必要だと感じたから」と会田氏。
それは単にPCやインターネットに詳しいNPOが,そうでないNPOをサポートしていくといったレベルに留まらない。
「PCというハードウェアだけじゃない。活動そのもので連携できたらどんなにいいか」(会田氏)
今回,PCが寄贈されるNPOは,視覚障害者を支援する団体から児童,青少年,高齢者の教育を支援する団体まで多岐にわたる。千葉・流山で風力発電の研究・普及を図るNPOなんてのも選ばれている。
そうしたNPO同士,例えば,点訳を支援する団体と図書の音声訳(つまり朗読)やその録音を行う団体が手を結べば,新しいものが生まれると会田氏は考えたという。
10台のIBM ThinkPad 600が贈られた「DAISY TOKYO」(デイジートウキョウ)は,デジタル録音図書の製作を行うNPOだ。全国の点字図書館に2580のCD図書が配られているというが,そのうち約500は多摩市の同団体がつくったものだという。
勉強不足で知らなかったが,このデジタル録音図書の製作には世界標準的な仕様があり,Windows 2000で動作するオーサリングツールがあるという。従来のオーディオテープでは10巻くらいのものでもデジタルにすれば1枚のCD-ROMに収録できるほか,専用のプレーヤーを使うと実際の本のようにページ単位で飛べたりできるという。
やはり,PCはハードウェアやソフトウェアだけではない。かつてアルビン・トフラーが新しい時代の消費者を「プロシューマー」(Pro-sumer:生産・消費者)と呼んだ。PCユーザーはその好例で,消費をしながら新しい何かを生み出しているのだ。
なお,イーパーツではFuture Community Supportを引き続き行っていくという。
[浅井英二 ,ITmedia]
