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ミラクル・リナックス 茂木正之社長 MIRACLE LINUXはエンタープライズLinux実現の決定版

2000年6月に日本オラクルを筆頭株主に設立されたミラクル・リナックス。Oracle9i Databaseにいち早く対応したMIRACLE LINUXバージョン2.0の提供により,本格的なエンタープライズLinux市場の確立に向け活動を開始した。そこで2001年6月より同社を率いる茂木社長に2002年の展開を聞いた。

ZDNet 2001年6月のミラクル・リナックスの社長就任から半年経ちますが,まずはこの半年を振り返ってもらえますか。

茂木社長
茂木 ミラクル・リナックスという会社については,個人的な見方と,社長としての見方の2つの視点があります。まず,個人的な視点ですが,ミラクル・リナックスという会社は,「非常におもしろい会社」です。

 これまで自分自身としては,IT業界ではすべて外資系の企業に関わってきました。ハードウェアもソフトウェアも経験しましたが,外資系企業ではビジネスを行う場合,常に本国の承認が必要でした。日本独自のビジネスモデルを確立することが非常に難しかったのです。

 しかし,ミラクル・リナックスでは,自分たちの信じる製品を企画/開発し,必要なユーザーやパートナーに,タイムリーに提供できるようになりました。これは,私個人にとって初めてのことであり,非常におもしろい経験となりました。

 一方,社長としての見方ですが,ミラクル・リナックスという会社は,エンタープライズ領域におけるLinuxのディストリビューションを展開していく企業だということを完全に認知してもらうための半年だったといえるでしょう。

 2000年6月に日本オラクルがミラクル・リナックスを設立し,Oracleデータベースに最適化されたLinuxサーバOS「MIRCLE LINUX」のバージョン1.0および1.1を発表しました。これにより,ミラクル・リナックスという会社をある程度,ユーザーの方々に認知してもらえたと思います。

 さらに2001年後半には,バージョン2.0をリリースし,バックエンドサーバおよびエンタープライズ領域に本当に活用できるLinuxサーバOSは,MIRACLE LINUXを措いてほかはないということをうまくアピールできたと思います。

 バージョン2.0では,日本オラクルがIT業界における最大の起爆剤と位置付けてリリースした「Oracle9i Database」にいち早く対応しています。Solaris版に続く2番目のプラットフォームとして2001年10月24日に,MIRACLE LINUX版をリリースすることができました。これは,日本オラクルとミラクル・リナックスの社員の協力により実現したものです。

 こうした努力によりMIRCLE LINUXは,完全に市場に認知されたと思っています。

ZDNet 市場に認知してもらうために,そのほかどのようなビジネス展開を行ってきたのですか。

茂木 日本オラクルがOracle9i Databaseのプロモーションを強力に行っていますが,これにあわせてバージョン2.0をより認知してもらためのさまざまな展開を行ってきました。例えば,日本オラクルの主要なSIパートナーでもあるNSソリューションズやCTC,TIS,アシストなどのSI各社がLinuxの重要性を認識しはじめており,われわれとも協力関係を築いてくれています。

 また,ハードウェアベンダーとして,NEC,コンパックコンピュータがいち早くMIRACLE LINUXを搭載したサーバ製品を提供することを決めてくれたほか,日立製作所,東芝などがクラスタ製品の動作検証を開始してくれています。さらに,デルコンピュータは,米国本社の承認を得て,MIRACLE LINUXを搭載したサーバ製品を日本国内で販売することを発表しています。

ZDNet 2001年をまとめるとどんな1年だったのでしょう。

茂木 2001年は,前半でわれわれのビジネスを市場に認知してもらい,後半でビジネスのためのインフラを整えた1年だったといえるでしょう。エンタープライズLinux市場を作っていくための準備が整い,いよいよ本格的なスタートを切れる状態になったと思います。

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[聞き手:山下竜大 ,ITmedia]